12球団の三遊間ベストコンビは? アウト率から各チームの守備の特徴を探る

二三塁間での守備の特徴が出ている<コンビ>
二三塁間での守備の特徴が出ている<コンビ>

ソフトバンクの三遊間にほころび? 目立つ若い三塁手の活躍

 次に、数字は良くないが、特徴がよく見える三遊間コンビを紹介していく。ソフトバンクは三塁手の松田宣浩、遊撃手の今宮健太が長らくコンビを組んできた。ともに優れた守備を見せてきたが、今季は松田の守備があまりうまくいっていないようだ。ただ、定位置のすぐそばで平均を大きく割っているが、GやHといった定位置から離れたゴロ打球については他の三塁手よりアウトにしている。いびつなアウト率の下がり方ではあるが、加齢の影響が出ている可能性もある。なお今宮は二塁側で平均を上回りつつ、FやGについても打球をよくアウトにして松田の不振をカバー。ソフトバンクの守備の要といっていい活躍を見せている。

 DeNAは、三塁の宮崎敏郎がFのゾーンまでではあるが三遊間やや深めでアウトを稼いでいる。しかし相棒の倉本寿彦はうまく打球を処理できておらず、コンビとしては、Gに穴をつくってしまっている。宮崎も28歳で、先ほどの安部、藤井と同じ年齢。守備範囲の大きさと年齢は関係がやはり深そうだ。

 パの首位を走る楽天のゼラス・ウィーラーと茂木英五郎のコンビも、小さいがGに穴をつくっている。穴が小さくて済んでいるのは、ウィーラーが三塁線の打球の優先度を下げているからかもしれない。松田が三塁線については良い数字を出しているのとは対照的だ。

 この傾向は先ほどのレアードや中日のアレックス・ゲレーロ、ロッテのマット・ダフィーなど外国人三塁手に共通しており、定位置よりやや右よりに強いゾーンを持っていることが多い。特にレアードやゲレーロは、多くの三塁手がアンツーカーの幅内の後方を守っているのに対し、アンツーカーの幅からはみ出た三遊間寄りを守っているケースが散見される。外国人三塁手の意識の違いが、結果に表れているのかもしれない。

 阪神は鳥谷敬と北條史也のコンビで見ると、遊撃手の北條が三遊間深めのカバーを意識している様子が見て取れる。一方で二塁側は多くのゾーンで平均を割っている。二塁側を捨てて、三遊間深めを押さえにいっているのだと思われるが、実現できているのは北條の強肩があるからだろう。この選択は誰にでもできるものではなさそうだ。

 守備評価には、エラーの数などから算出する守備率や、高度な計算を行うUZRなどがあるが、その間に位置するものとして、このような形もある。「飛んできた打球をアウトにした割合」というのは基準としてはシンプルなだけに、実感を得やすい面もあるのではなかろうか。

(文:DELTA、分析:Student)

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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