どっちが首位? 楽天とソフトBが「-1差」、消化試合数の違いで「逆転現象」
MLBでは消化試合数がシーズンのどの時点でも可能な限り均一に
ドーム球場を本拠とする球団に比べて、屋根なし球場を本拠とする球団の試合消化が遅れるのはよくあることではある。それにしても今季の楽天の試合消化の遅さは際立っている。
NPBのレギュラーシーズンの試合数は143と決められているから、いずれ楽天は追いつくことになる。消化試合数が少ないチームは、ゲーム差が開いていても残り試合数が多いので挽回の余地がある。その点は有利だが、その分、試合日程はタイトになる。
今の予定では、両チームは10月8日にともに最終戦で対戦することになっている。8月9日から10月8日までの61日間で、ソフトバンクは42試合を消化するのに対し、楽天は51試合を消化しなければならない。休養日はソフトバンク19日に対し、楽天はほぼ半分の10日だ。
9月は台風シーズンだから、楽天の試合がさらに中止になる可能性もある。そうなれば、さらにタイトなスケジュールになる事態も起こりうる。シーズン終了が大幅にずれることも考えられる。昨年も、レギュラーシーズンが終了したのは10月16日だった。
ソフトバンクと楽天の首位争いが今後、どのように推移するかは予断を許さないが、シーズン終盤になれば、飛び飛びでしか試合がないソフトバンクと、過密スケジュールの楽天の消耗度の差は大きくなるだろう。またソフトバンクが全試合を終えてからも、ペナントの行方がなかなかきまらないなど、間延びした展開になる可能性もある。
MLBはレギュラーシーズンが終わってすぐにポストシーズンが始まるため、その日までに消化できなかった試合は、地区優勝やワイルドカードに影響しなければ打ち切られることもある。レギュラーシーズンは162試合だが、161試合でシーズンを終えるチームが出ることもあるのだ。ただ、中止の試合は直近の予備日を埋めたり、ダブルヘッダーにするなどして、できるだけ試合を後に回さないように日程が組まれる。各チームの消化試合数がシーズンのどの時点でも、可能な限り均一になるようにし、分かりやすくしようとしている。
試合中止が多いのはやむを得ない部分もあるが、今年のパ・リーグのような「逆転現象」が度々発生すると、ペナントレースの行方はわかりにくくなり、興趣をそぐ。MLBにならって、NPBもできるだけ試合消化を均一にするように日程を組む必要があるのではないか。
(広尾晃 / Koh Hiroo)