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現役の終着点は「わからない」 栄冠と挫折を味わった井川慶が求めるモノ

「日米野球界の酸いも甘いも知っている」と言ったら言い過ぎだろうか。多くの栄光、そして挫折や非難中傷も浴びて来た。ここまでの経験をした選手もそうはいないのではなかろうか。サウスポーは、今、何を思ってボールを投げ続けているのだろう。

「結果うんぬんではない」―、今も心に秘める悔い

 この日の練習場所は、兵庫県西宮市のビーコンパークスタジアム。山の間に作られた施設は、両翼92メートル、中堅115メートルで打撃練習所も完備。普段は学生相手の野球教室などもおこなわれている。本拠地アメニスキッピースタジアム(三田市)が使用でききない時などに使わせてもらっている。「練習」をするには最適な環境なのであるが。

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「アメリカ時代にはやっぱり、悔しい気持ちもあります。それは結果うんぬんではなく、年間を通じてチームに帯同して投げられなかったこと。僕が昔から大事にしているのはその部分。阪神の時から、ローテーションを守って投げ続ける。そのうえで勝った、負けた、はついて来るものだと思っていた。そのために何ができるのかを考えて、調整などもおこなっていた」

「だから4年間いたオリックス時代も考えると悔しい。ほとんどマウンドを守れなかった。それをしっかりおこなうことが投手だと思っているから。そういった部分でも、もうちょっとやってみたい、という気持ちがないわけでもなかった」

 投手として年間を通じてローテーションや役割を守り抜く。そのためには技術、コンディションなど、すべてのものを常にフラットな状態にキープする必要性もある。どんな試合であっても変わらぬルーティンをおこない、その時点で最善の準備をおこなってマウンドへ向かう。

「(ロジャー・)クレメンスを近くで見れたことも大きかった。自分の気持ちをより強いものにさせてくれた。彼が復帰への調整登板でマイナーで投げる場所に居合わせることができた。1Aでの登板なのに、試合前、汗をしっかりかいて整えている。クレメンスからするとレベルがまったく異なる対戦相手。『これが一流と呼ばれる投手なんだ……』と改めて感じた」

「一流」と呼ばれ、周囲から尊敬を集める投手の現実もしっかりと目の当たりにすることができた。注目度も含め、とにかくすべてが桁外れなのである。

「3Aで投げた時には、普段ガラガラのスクラントンの町なのに、彼を見たいために“交通渋滞”まで起きた。メディアが考えられないほど来て、朝から全国版を含めて中継したりしていた。ファンのみでなく警官が何人も出動していた。誰もの注目度や期待が違う。いろいろな意味で感銘を受けました」

 日本での成功、アメリカでの経験、そして帰国後の選択。年齢的に見ても、現役選手として、「着地点」を目指さなければならない時期に、嫌でもさしかかろうとしている。

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