競技人口の減少に強い危機感 少年野球で進む改革

各リーグとも危機感をもって改革に着手

 この体験会は今年で2回目だが、昨年は中学生の選手から「小学生たちを教えることで、自分たちの野球を見つめなおすことができ、勉強になった」という声が上がった。

 1時間足らずの体験会だが、子どもたちは硬式球の野球体験に夢中になり、付き添いの父母もあこがれのメットライフドームで走り回る我が子の写真を撮っていた。

 少年硬式野球は、小中学校の軟式野球に比べれば競技人口の減少率は小さいとされるが、関係者の危機感は強い。高野連発表の男子硬式野球部員数が今年、減少に転じたこともあり、「何もしなければじり貧」という意識を持っている。ライオンズカップはヤングリーグ、ポニーリーグ、ボーイズリーグ、リトルシニアリーグが共同で運営している。各リーグの幹部に話を聞いたが、どのリーグも危機感をもって改革を進めている。

 ヤングリーグは野球だけでなく、挨拶やマナーなどもきっちり教えている。ポニーリーグはすべての子供たちに対して、その出場機会に気を配っている。関西発祥のボーイズリーグは関東でもチーム数が増えているが、今、指導者に最も厳しく言っているのは「暴力、暴言絶対禁止」。また、女子野球チームを作るなど、すそ野の拡大に尽力している。リトルシニアリーグも、普及活動に力を入れている。またルールを統一するなど、リーグ間の垣根を越えて少年野球を考えるべき時が来たと認識しているという。

 主催者の埼玉西武ライオンズ担当者は、「中学生の選手たちが、これをお手本にして、地元でも小学生に野球の手ほどきをするようになれば、すそ野は広がっていくだろう。ただ硬球は危険が伴うので、必ず大人が付き添ってほしい」と語る。こうした地道な取り組みが、野球のすそ野の拡大につながっていく。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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