ロッテ鈴木が語る「6」の背中 偶然の握手から始まった「人生の不思議」

忘れられない言葉、「やるしかない。出直そう」

 初めて1軍に昇格をした頃。ベンチでどこに座ればいいか分からずに困惑をしていると、井口に手招きをされて、隣の席を空けてくれた。「とりあえず、大きな声を出すことだよ」。そう言って和ましてくれた。

 2年連続全試合出場をして迎えた15年5月20日のライオンズ戦。不振にあえいでいた鈴木はスタメン落ちを言い渡され、連続試合出場が止まった。試合に勝利をしてスタンドに挨拶を行い、ベンチに戻ろうとした時に、ポンと後ろから肩を叩かれた。振り向くと井口がいた。

「明日からまた頑張ろう。やるしかない。出直そう」

 悔しい想いは表情や態度に出さないように強く心がけていた。ベンチで大きな声を出し、笑顔を作ってきたつもりだった。それでも大先輩は気持ちを察し、誰よりも先に声をかけてくれた。それが本当に嬉しかった。

「別に誰もが注目をしているような凄い記録なわけではない。僕の個人的な目標に過ぎないそのことを知ってくれていて、あの状況の中で声をかけてくれたことが本当に嬉しかった」。それからまた連続試合に向けた全力の日々が始まった。

教えられた“プロで生きる意味”と“厳しさ”

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