まさに「いぶし銀」、ますます存在感を高める西武・炭谷銀仁朗

競争の歴史、西武の正捕手の系譜

「地味ながら存在感あり」――。これは、西武ライオンズの捕手の伝統だと言える。1979年、福岡から埼玉に移転し、西武ライオンズとなってから38年、この間、正捕手はわずか6人しかいない。

 以下が西武の正捕手(最多出場)の系譜だ。

1979年 野村克也
1980年 吉本博、大石友好
1981~83年 大石友好
1984~08年 伊東勤
2005~08年 細川亨
2009年 銀仁朗
2010年 細川亨
2011年~ 銀仁朗(炭谷銀仁朗)

 西武ライオンズ初代正捕手は、レジェンド野村克也。以後、吉本博、大石友好を経て現ロッテ監督の伊東勤、さらに現楽天の細川亨、そして炭谷銀仁朗と続く。

 この系譜を見てもわかるように、正捕手の継承は、穏やかに行われたわけではない。野村の後釜を争った吉本博、大石友好、そして細川亨と炭谷銀仁朗、正位置を取ったり取り返されたり、激しい正捕手争いの果てに決まるのだ。2011年、炭谷との正捕手争いに決着がついて、細川亨はソフトバンクに移籍している。

 この38年間、西武ライオンズの正捕手で、3割を打った選手も20本塁打を打った選手もいない。端的に言えば「専守防衛」だが、ベストナインを合わせて12回、ゴールドグラブ(ダイヤモンドグラブ)を14回も獲得している。西武の捕手は正統派の「守備の要」だと言えよう。

 今季の捕手としての出場試合数は炭谷が92試合、岡田が54試合、ここ10試合は5試合ずつ。ポジション争いは激しさを増しているが、シーズン最終盤、そしてポストシーズンと、捕手の頭脳がモノを言う局面が増えてくる。この部分では炭谷に一日の長があるようだ。まさに「いぶし銀」の活躍に期待したい。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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