「マドンナジャパン」最大のライバル撃破 空気を変えた橘田新監督の言葉

指揮官は試合前の言葉を反省「逆にプレッシャーになってしまったかも」

 ワールドカップ5連覇中の日本には、世界の女子野球をリードしている使命もある。18歳以下の年代で挑んでいるが、そこに年齢は関係ない。実際、インド代表チームは日本のウォーミングアップを見学し、韓国の選手からは野球ノートの書き方を教えてほしいと言われたという。勝敗も大切だが、日本代表として取り組む姿勢や試合の雰囲気で手本となることも求められている。

 指揮官の言葉に奮起し、6回は打者一巡の猛攻を見せた。1死から9番・安達瑠(京都両洋高)がセーフティバントで相手三塁手の悪送球を誘って出塁したが、積極性が奏功した。「安達もサードがあんなに前にいるのにもかかわらず、サードのライン際を狙って、果敢にセーフティをやってくれた。そこは信じてやってくれたなと思います」と橘田監督。そこから1番・蛭田菜月(埼玉栄高)が右中間へ安打を放ち、吉井温愛主将(履正社高)がレフトで同点打。3番・渡辺那奈(作新学院高)も右前打で満塁とし、途中出場の金満梨々那(開志学園高)の遊ゴロの間に勝ち越した。

 チャイニーズ・タイペイは投手を交代したが、暴投が続いてさらに2点を奪うと、2死二、三塁からは7番・蜜浦さくら(履正社高)が左中間を破る2点適時二塁打を放った。

 0-1とリードされ、緊迫した展開だったが、最後に高い集中力を発揮して勝利をつかみ取った日本。橘田監督は試合前に事実上の決勝戦だと確認したことで「逆にプレッシャーになってしまったのかもしれないと感じています。いつも冗談ばかり言ってきたのに、ここに来て、すごく真面目なコメントをしたがためにですね。そこも含めてまだまだ高校生の目線に指導者として足りていなかったなと反省です」と話したが、未来を担う高校生たちにとって重圧のかかる事実を認識して戦った経験は尊いものになるだろう。

 最大のヤマ場をクリアしたが、戦いはあと3試合。「ここで気を緩めることなく、しっかりとアジアの各国の見本になる野球をやりたいと思います。今日、できなかったことやあまりにも緊張して失敗したところはミーティングで改善していきたいと思います」と指揮官。日本の野球をアジアに示し、さらなるレベルアップに貢献する。

(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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