巨人坂本が3割割れ、阪神鳥谷が急浮上 セ・リーグ首位打者戦線に異状アリ
意外だった坂本の失速、経験も立場も異なる打者たちの争いに
意外だったのは巨人の坂本勇人。昨年の首位打者であり、この顔ぶれでは実績も十分だったが、この1か月は88打数12安打の.136と信じられないような不振。9月5日にはついに3割を割ってしまった。
8月6日の時点で7位につけていたヤクルトの雄平は、6月28日に右手首を骨折してすでに戦線離脱。現在は規定打席から外れている。また、広島、鈴木誠也も8月23日に右足首を骨折。鈴木はすでにシーズンの規定打席をクリアしており、ランキングから外れることはないが、今後、数字が動くことはない。
1か月の間に新たにランクインしたのは、6位の阪神・鳥谷敬と、10位のヤクルト・坂口智隆の両ベテラン。2000本安打を目前にした鳥谷は1か月前は.288で11位だったが、この1か月は95打数33安打の.347と打って.301と3割超え。坂口は1か月前は.279で16位だったが、この1か月は92打数34安打の.370と鳥谷を上回る勢いだった。
残り試合は阪神、巨人、DeNAが20試合、中日、ヤクルトが18試合、広島は16試合。各打者は60~80回程度、打席に立つ。この僅差を考えると、打率3割前後の打者でも十分に首位打者が狙えると言えよう。
こういう展開では、規定打席未達で好成績を上げている打者が、規定打席に達して突如上位に浮上することがある。「潜航艇」といわれるパターンだ。広島の松山竜平は.321と好調だが、最終の規定打席443には現時点で115足りず、浮上は絶望的。他にはそうした選手は見当たらず、首位打者はこのランキングの中で決まるだろう。
キャリアで初めて規定打席に到達したDeNA宮崎、広島の安部、3割の常連の阪神鳥谷、巨人坂本、1年契約の巨人マギー。経験値も立場も異なる打者の打率争いはさらにヒートアップするだろう。これからも目が離せない。
(広尾晃 / Koh Hiroo)