指揮官がイチロー称賛&選手に無理難題!?「みんなイチの域に達して…」
イチローを偉大たらしめるもの「シンプルさを保つこと」
19日(日本時間20日)、マーリンズのイチロー外野手は本拠地メッツ戦で、後がない9回2死に同点タイムリーを放つ活躍を見せた。試合は延長10回にリアルミュートの劇的サヨナラ弾で勝利。前日にも1イニング2安打1打点の活躍でチームを勝利に導いたベテランを、マッティングリー監督は「イチはアンビリーバブル」と賞賛している。
まさに千両役者だった。3-4でリードされた9回2死一、二塁の場面で背番号51が打席に立った。
今季途中にメッツへトレード移籍した元守護神A.Jラモスとの対決。イチローはかつての仲間にも容赦はなかった。カウント1-1からの3球目を完璧に捉えると、強烈なライナーが遊撃手レイエスのグラブを越えてセンター前に抜けた。二塁走者だったアンダーソンが生還して同点。あと1死から試合は振り出しに戻った。
試合後の記者会見で、マッティングリー監督はリードオフマンに起用したイチローの躍動に目を細めた。
「イチはアンビリーバブルだよ。いつも同じ。変わらないんだ。見ていて楽しかったよ」
この打席まで4打数ヒットなし。追い上げムードにあったとはいえ、一か八かの正念場で見せたメンタル面の強さについて聞かれた指揮官は、こう語った。
「イチローはどんな打席でも同じなんだ。それこそが、彼がここまでに長きに渡って偉大である理由だと思う。状況は関係ない。彼は同じ方法でヒットを打つんだ。あそこまでヒットがなかったのは事実だけど、彼は自分のアプローチを変えなかった。実にシンプルなんだ。いつも同じ意識で打席に臨んでいるように見えるね」
1985年にはMVPに輝くなど名門ヤンキースのスーパースターだった指揮官も、イチローの流儀に心を打たれている様子だった。
「色々なプランもあるし、選手もそれぞれだが、みんなにはイチの域に達してもらいたい。どんな打席でも変わらない。スプリングトレーニングだろうが、開幕戦だろうが、10点差でリードしていても、されていても、ギリギリの状況でもだ。シンプルさを保つことは難しいんだ。そういうメンタリティでいれば、どんな打席でも変わらないメンタルでいられる。それがイチローを偉大たらしめるものなんだよ。殿堂入りする選手はいつでもいい打席を見せてくれる。状況は関係ないんだ」
イチローの勝負強さの根源を、指揮官はこう表現していた。
最後の最後で大仕事を果たしたイチロー。5打数1安打1打点で打率は.263となった。メジャー通算安打数を3079本に伸ばし、歴代21位キャップ・アンソン(3081本)まで残り2本と迫った。
(Full-Count編集部)