9番→2番、三塁→一塁、侍J社会人・北村が躍動、変更に柔軟対応で光る存在感
借りたファーストミットで急遽一塁スタメン「どこで行けと言われても…」
変わったのは打順だけではない。「今日はファーストでスタメンだったので、正直…」。球場に到着してから告げられたポジションは、これまでの三塁ではなく一塁だった。大城卓三捕手(NTT西日本)からファーストミットを借り、試合前練習から一塁守備を入念に確認。「今日はバッティングよりも守り。ファーストミットに慣れようと思った」と、意識は守備に集中していた。打球こそ飛んでこなかったが、2回にはショート・藤岡の高く逸れた送球を、左腕を目一杯伸ばして捕球。「ミットが思ったより長くて届いてくれた」と笑った。
「代表チームに入ったら、こういうこともある。そういうところに対応しないといけない。どこで行けと言われても行かないといけない。そういう意味でも、いい働きができたのではないかと思います」
普段、守り慣れていないポジションに入ることも覚悟の上だった。大学時代は遊撃を務め、内野はどこでも堅実に守り、捕手もこなす器用さを持つ。亜細亜大では主将を務め、プロから注目を集めたが、惜しくも指名漏れ。トヨタ自動車に入り、社会人でそのスキルに磨きを掛けながら、チーム優先のプレースタイルは変わらずに続けている。
決勝も7日に続きチャイニーズ・タイペイと戦う。「いい緊張感を持って戦えると思う。2番だろうが9番だろうが、役割は変わらないのでできることしっかりやりたい。1点1点の積み重ねが大量得点になる。つないで、つないでいければいいなと思います」。
さぁ、目指してきたアジア王者へ、あと1つだ。
(高橋昌江 / Masae Takahashi)