攻守に貢献、“下克上”狙う楽天に大きな2勝目をもたらした正妻・嶋の働き
失点危機の6回には好リードで反撃の芽を摘む
まず内川の打席。初球、2球目と150キロの真っ直ぐが外れて2ボール。3球目も150キロで見逃しのストライクを奪うと、4球目は151キロで空振り。そして5球目。外角高め150キロのストレートで、バットに空を切らせた。なんと全球真っ直ぐ勝負を挑み、相手の主砲をねじ伏せた。
続くデスパイネには、フルカウントの末に四球となったが、松田には再び全球真っ直ぐ勝負。1ボール2ストライクと追い込むと、4球目外角いっぱいの152キロのストレートで見逃し三振を奪った。「あの真っ直ぐを1発で弾くのは、なかなか難しいと思いますし、1番いいボールは、宋くんは真っ直ぐなので、それでいけるところまでしっかり押そうと思った」との考えからの直球勝負だった。
「裏をかくような、逆逆にいったり、いい配球をしてくれている」と、捕手出身の梨田昌孝監督も称賛する嶋のリード。自身は「リードはやられれば言われるし、抑えれば褒められる。これは紙一重のところなので。でも、ここまで来たら割り切っていくしかない。それがたまたまいい方に出ているだけ。1つの配球ミスで流れが変わることもあると思うので、またしっかり勉強して明日臨みたいと思います」と冷静に受け止めている。
リーグ戦3位から、ファーストステージを勝ち上がって進出したファイナルステージ。初戦、2戦目と連勝して2勝1敗となり、俄然、下克上への気運も高まるはず。それでも、2013年の日本一を知る狗鷲の正妻は「雰囲気は勝っているからいいと思いますけど、まだまだソフトバンクにはいいピッチャー残っていますし、1つ負ければ流れは絶対に変わると思うので、また明日全員で1つの勝ちに向かって頑張っていきたいと思います。まだまだ分からない。たまたま2つ勝っただけなんで、気を緩めたら、その隙を必ず突いてくるチームだと思うので、また全員で気を引き締めていきたいと思います」と淡々と話していた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)