楽天の「下剋上」のカギを握る存在 「勝利の方程式」に加わった”謎の右腕”

楽天自慢の「勝利の方程式」に加わった“謎の右腕”

 楽天は10月1日の時点で、12球団で最も多い9試合を残していた。CSに備えて救援投手陣の消耗を防ぐ目的もあって宋家豪を起用したが、予想外の好投を見せたのだ。

 梨田監督は、CSファーストステージではアマダーの代わりに宋家豪をロースターに載せた。10月16日の第3戦で、6回裏、2番手の高梨雄平が先頭の源田壮亮を歩かせると、梨田監督は宋をマウンドに送る。宋は代打メヒアを見逃し三振、山川を中飛、浅村を遊ゴロと、西武の中軸を3者凡退に切って取った。この好投で宋には勝ち星がつく。

 この好投で手ごたえを感じた梨田監督は、アマダーをメンバーに加えたCSファイナルステージもペゲーロを外し、そのまま宋を登録。19日の第2戦でも6回裏、先発・辛島航から1死二塁でマウンドを引き継ぎ、内川聖一を速球で空振り三振、デスパイネは歩かせたが松田宣浩を見逃し三振。次の7回表に楽天が勝ち越したため、宋にCS通算2勝目がついた。レギュラーシーズン未勝利の投手が、CSでは最多勝だ。

 宋は185センチ、92キロのがっちりした体格。150キロ超の速球とスライダー、カーブなどを投げるが、外国人投手には珍しく、制球が良いのが強みだろう。

 そして何よりも、他球団からすれば「ほとんど対戦データがない」ことが大きい。どんな投手なのかがわからないために、攻めあぐねているという一面があるのだ。宋家豪は8月のデビュー戦では3被安打したが、以後、6試合の登板で1安打も打たれていない。

 ここへきて、ハーマン、福山、松井裕樹という楽天自慢の「勝利の方程式」に“謎の右腕”が加わった。宋の活躍が今後も続くようなら、楽天の「下剋上」も夢ではなくなるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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