日本S進出、鷹・工藤監督が告白「正直、これはヤバいなという雰囲気あった」

日本S進出を決め、会見に出席したソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】
日本S進出を決め、会見に出席したソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

円陣で鼓舞、「とにかくバカになって野球をやろう、騒いで野球をやろう」

 最後は完勝だった。パ・リーグ王者のソフトバンクが日本シリーズ進出を決めた。22日、本拠地ヤフオクドームで戦った楽天とのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第5戦。3勝2敗で突破に王手をかけていた王者は、4回までに大量6点のリードを奪うと、先発の武田が7回5安打無失点と好投して完封勝ち。選手たちの手で7回胴上げされた工藤公康監督は「非常に苦しいところからだったので、本当に選手達がよくやってくれたという思いでいっぱい。2つ負けてからよく盛り返してくれたなと、選手の強い思い、気持ちが伝わって来ました」と歓喜の声を上げた。

 シーズン94勝の底力は、やはり強かった。初回、この日右脇腹肉離れから電撃復帰し、いきなり「1番・中堅」で起用した柳田が遊撃内野安打で出塁すると、一気に猛攻を仕掛けた。内川の中犠飛で1点を先制すると、ここまで第4戦まで不振だった松田にも右翼フェンス直撃の2点適時二塁打が出て、一気に3点を先制。さらに、3点リードの4回に先頭の中村晃が中前へと抜ける安打を放つと、松田がこのCS初本塁打となる2ランを左中間のホームランテラス席へ。楽天先発の美馬をKOすると、さらに2死二塁のチャンスで、柳田が楽天2番手の藤平から右前への適時打。リードを大きく広げた。

 先発の武田は7回まで楽天打線を5安打無失点に抑える好投を見せた。8回はセットアッパーの岩嵜翔にバトンをつなぎ、9回はまず森をマウンドに。走者を1人出したが、1つのアウトを取ると、点差が開いていたにも関わらずサファテをマウンドへと送った。守護神は期待通りに空振り三振、三飛とアウトに取ってゲームセット。歓喜の瞬間が訪れた。

 初戦、2戦目と連敗し、苦しいスタートとなったソフトバンクだった。工藤監督は「正直、これはヤバいなという雰囲気はあった」と告白する。「ただそういうものは表に出すものではないと思っていましたし、何か自分に出来ることはないかと」と、3戦目の試合前、普段は入らない円陣に加わりと選手に伝えた。

 さらに、シーズンで2試合しか出場していない城所を起用するなど、スタメン、打順も大きく入れ替えて臨むとこれが大当たり。3戦目に勝利すると、一気に風向きは追い風となり、一気の3連勝でファイナルステージ突破を決めた。

 パ・リーグのCSファイナルステージで、初戦に敗れたチームがステージを突破したのは、これが初めて。「連敗したときには日本シリーズへの進出は0パーセントと。あれで選手たちはこのまま終わってたまるかと、そういう気持ちで次のゲームから力を出してくれたと思います」と語った工藤監督。終わってみれば、力通りの結末だったファイナルステージ。王者ソフトバンクが、悲願の日本一へ挑戦する権利を得た。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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