胴上げやヒーローインタビューなし? 球場内外で見られる日米の文化の違い
グラウンドを引き上げていく選手たちを待ち受けるシーンにも違いが…
そして、グラウンドを引き上げていく選手たちを待ち受けるシーンも日本独特ではないだろうか。米国ではリーグ規定で試合終了の何分後かにクラブハウスがメディアに開放されるが、日本では“ぶら下がり”という文化がある。一度ロッカーに戻って荷物をまとめ、球場を後にする選手たちを広報やメディアがマネジメントして取材を敢行していく。しかもユニホーム姿でバスに乗り込むシーンは米国ではキャンプ中にしか見ることのない光景だ。米国ではホームであってもアウェーであっても球場でシャワーを浴び、着替えてその場をあとにするのが一般的なのだ。
日本ではユニホームなどの着替えを宿泊先の部屋の外に置き、提携している業者が洗濯を行う。一方、米国では着替えを球場で済ませてしまうため、全てをクラブハウスのスタッフ、俗にいう“クラビー”が作業を行ってくれる。このため、米国では現場に属するスタッフがそれだけ多く必要となるが、日本ではうまく第三機関を巻き込んで運営を行っている。
さらに米国では、試合後の食事は遠征チームであってもクラブハウスで他球団のアウェーチームをもてなすスタッフたちが用意してくれる。これには選手会とMLBの規定により、毎日遠征時に支払われるミールマネー(食費)が関係しており、その中から遠征時に洗濯や食事を提供してくれたスタッフにチップを支払うという義務がある。リーグがうまくお金の循環を果たしている。そのため個々の判断にはよるが、試合後は球場で食事をして帰る選手が非常に多い。一方、日本では宿泊先のホテル会場に食事が設けられていて、栄養管理がされた食事を口にできる。もちろん、外出先で食べる選手もいるだろう。
日米では様々な面においていくつかの違いが存在する。意外にもヒーローインタビューやリリーフカーの存在など、エンターテインメントに長けた部分が米国には無く、日本にはあったりもする。ここで挙げたものはごく一部の紹介に過ぎないが、様々な角度から日米を見比べてみると、意外なところで新たな発見に出会えるかもしれない。
(「パ・リーグ インサイト」新川諒)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)