ホークス上林は22歳の「モンスター」 大舞台の悔しさは、同じ高みで晴らす

「自分は何もしていない」―1人流した涙は誇り高く

 しかし、楽天を迎え撃ったクライマックスシリーズファイナルステージでは、初戦と第2戦に先発出場するも、5打数無安打。以降は出場機会はなく、第5戦の前に出場選手登録も抹消された。その試合でチームは見事楽天に完勝し、2年ぶりの日本シリーズ進出を決めたものの、試合後はただ1人、膝を抱えて悔し涙を堪えた。

 日本シリーズでも、上林の出番は第4戦の代打のみ。そこでも横浜DeNAの濱口の前に見逃し三振に倒れた。チームはその後さすがの強さで日本一に輝き、惜しみない賞賛を浴びたが、だからこそその歓喜の裏で、悔しさが身に染みるのか。若武者は「(日本一のために)自分は何もしていない」と、あくまでも冷徹に自分自身を見つめていた。

 2017年シーズンの全日程が終了し、各球団が秋季キャンプを張っている。若手は英気を養う暇もなく、来季に向けた取り組みが注目される時期。しかしまだ、上林の戦いは続く。11月16日に開幕する「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」に、侍ジャパンの一員として出場するからだ。奇しくも稲葉監督とは、「打撃フォームが似ている」と言われる。日の丸を背負って戦うこと、同じく代表に選ばれた同世代の選手と交流できることは、苦しみながら今シーズンを終えた上林にとって、得難い経験となるだろう。

 今季のゴールデンウィークで大暴れし、ついたあだ名は「モンスター」。高卒4年目の年、歓喜に沸くチームで1人流した涙は誇り高かった。いつかは同じ舞台で、若かったと笑って振り返る日が来ることを信じて。悔しさをバネに成長し続ける「モンスター」のこれからが、今から楽しみでならない。

【動画】ソフトバンク・上林の"天才的"バットコントロールまとめ

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