韓国破り完全優勝、U15侍で輝いた逸材 打率5割超&MVPで個人タイトル“6冠”
首位打者にMVP…数々の個人タイトル手にした功刀史也
今月1日から5日にかけ、静岡県伊豆市・志太スタジアムで開催された「第9回 BFA U-15アジア選手権」。侍ジャパンU-15代表は2008年以来、4大会ぶり2度目のアジア王者に輝いた。5戦目の韓国戦で1-0のサヨナラ勝ちを収め、5戦無敗の完全優勝。殊勲打を放った功刀史也(山梨・白根巨摩中)は打率.588で首位打者を獲得するなど、大会MVPにも選ばれる活躍を見せた。
歓喜の輪は、一塁ベース付近にできた。韓国との最終5戦目。0-0の7回、1死三塁。打席に入った功刀は「後ろにいいバッターがいたので、三振してもいいかなという気持ちで初球から思い切っていきました」と、初球にバットを振り抜いた。打球は前進守備のセカンドの横を抜け、センター前へ。三塁にいた代走・山城航太郎(福岡・高宮中)がホームを踏み、サヨナラ勝ち。7回以降の延長がなく、引き分け以上で優勝が決まる一戦。7回表をゼロに抑えた時点で優勝は決まっていたが、功刀のバットが5戦全勝の完全優勝をもたらした。
三塁ベンチから飛び出した仲間たちに一塁ベース付近でもみくちゃにされたヒーローは「(サヨナラ勝ちの瞬間は)何も考えていなかった。挨拶した時にサヨナラ勝ちしたんだな、と。それまではポワーンとしていました」と振り返った。無死二塁で、前の打者だった山田将義主将(東京・駿台学園中)が遊ゴロを打ち、1死三塁となっただけに「キャプテンがお膳立てしてくれて」と感謝も忘れなかった。伊藤将啓監督は「功刀が思ったより対応力がある子だった。ちょっと当てる小さいバッティングだったが、振り抜くバッティングに変えさせ、すごく対応した」と柔軟性を評価した。
功刀は閉会式も独占した。個人表彰では打率.588で首位打者、盗塁王(5盗塁)、得点王(7得点)を獲得し、最優秀守備選手にも選ばれた。オールスター選手の外野手にも選手され、大会MVPにも輝いた。「1個、1個、重みを感じました」と両手で持ちきれないトロフィーを抱えた功刀。MVPには「自分でいいのかなという感じがあります」と謙遜した。
大学生の兄が2人いる、三兄弟の末っ子。「オムツぐらいの時から週末はグラウンド」(母・由美さん)で育った。“6冠”に「神がかり的で本当にびっくり。こっちがびっくりです」と驚きを隠せなかった野球経験者の父・稔さんも「(兄弟の中でも)一番小さいときからやっているので。(野球歴は)人生とほぼ一緒ですね」と笑う。スポーツ少年団に入ったのは小学1年の冬からだが、物心ついた時には野球がいつもそばにあった。