7月末まで3桁背番号→プロ未勝利でCS2勝 来季が楽しみな楽天の”秘密兵器”
7月末まで3桁の背番号をつける育成契約も…
クライマックスシリーズの宋の出番は、埼玉西武とのファーストステージ最終戦。この試合に敗れれば終わり、という運命の一戦で巡ってきた。5回に1点差に詰め寄られ、6回の先頭打者が四球で出塁。流れが埼玉西武に傾きかねない場面で、梨田監督は宋をマウンドに送る。すると、その期待に応えて代打のメヒアから見逃し三振を奪い、後続の打者2人を打ち取って、見事厳しい場面を無失点に抑えた。
この投球でリードを保った楽天は8回に3点を追加し、5-2で埼玉西武を下してファイナルステージに進出。レギュラーシーズンでは未勝利だった宋はこの試合の勝ち投手となり、公式記録には残らないものの、うれしいプロ初白星を飾った。
パ・リーグ王者・福岡ソフトバンクとのファイナルステージでも、同点で迎えた第2戦の6回裏、1死二塁という重要な局面でマウンドを任されると、内川と松田から三振を奪って無失点で切り抜ける。直後に1点を勝ち越してそのまま逃げ切ったため、この試合でも宋が勝ち星を手にした。第4戦では2本塁打を浴びて敗戦投手となったが、クライマックスシリーズでの2勝はチーム最多。7月末まで3桁の背番号を背負っていた台湾の若き右腕が、大舞台でその実力を証明してみせた。
入団時に自身の特徴について「マックス151キロの直球とチェンジアップです」と語っていた宋だが、この2年で球速は153キロまで伸びた。まだ手にしていないシーズン初勝利と、勝ちパターン入りをつかみ取るために――。台湾のシンデレラボーイは来季もその剛球と強心臓を武器にマウンドで勇躍する。