中村に押し出されたもう1人の中村 広島戦力外26歳のアピールは他球団に届くか

1軍昇格を目指した8年間、今オフはトライアウトを経て次のチャンスを探る

 しかし、育成選手との契約は最長3年間という規定の下、2012年オフに自由契約となるも、広島と再契約。その後、中村は2013年、2014年と自由契約になっては育成契約を結びなおした。

 この間、当然ながら一度も1軍出場はない。育成選手は支配下に昇格できない場合、大半が2~3年で姿を消していくが、中村は6年も育成として在籍し続けた。球団側は、少なからず捕手としての可能性を見出していたのだろう。

 苦節6年。2015年オフに朗報が届いた。球団は2016年から中村を支配下登録すると発表。背番号は3桁の「126」から2桁の「68」に変更された。 

 育成時代より1軍昇格へ一歩近づいたが、それでも1軍までの道のりは遠かった。2016年は2軍で58試合に出場、115打数25安打1本塁打10打点、打率.217。そして、今季は37試合、32打数8安打0本塁打0本塁打8打点、打率.250。2017年は守備固めと代打での出場が多かった。

 10月26日に行われた今年のドラフト会議で、広島は今夏の甲子園で1大会6本塁打の新記録を作った強打の捕手、広陵高校の中村奨成を引き当てる。これに伴い、中村亘佑は戦力外となった。同姓の選手に押し出された形での戦力外で話題になったことは記憶に新しいだろう。

 8年を過ごした2軍通算成績は、265試合424打数87安打4本塁打40打点、打率.205だった。

 11月15日、マツダスタジアムで行われた12球団合同トライアウトに中村の姿があった。金森敬之(ロッテ)から中前打、信楽晃史(ロッテ)から四球、高木伴(オリックス)から遊ゴロ、岩本輝(元阪神)から左翼線に二塁打を放った。通算3打数2安打で12球団のスカウトにアピールした。 

 地元広島のファンは、8年間1軍には一度も出場することがなかった26歳に、温かい拍手を送った。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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