「福岡発 売り子名鑑」15歳デビューの6年目、ベテランが明かす売り子界の奥深さ

7年目の来季がラストイヤー「大学を卒業できなくても、売り子は卒業するつもり(笑)」

 それだけではない。ドーム全体の流れを見極める視野と判断力も必要だという。

「私は人のいないところ、売り子がいないエリアにいくようにしています。自分が売れていない時は、スタンドへの入り口で止まって見回して、人がいないところを確認します。あとは他の売り子さんの動きも把握します。その日その日で、流れを掴んでいる子というのがあるんです。タイミングによって売れない日というのがあって、そういう時はタイミングを変えないといけません。流れを持っている子はそのタイミングが合っている子なので、その子に合わせてみることもやります」

 決して甘い世界ではなく、奥が深い。

 三塁側内野席と、バックネット裏で働く「かずは」さん。好きな男性のタイプは「例えば、食事に行って、店員さんが食器を下げる際に『ありがとうございます』と一言言ったり、片付けやすいようしたり、そういうさりげない気遣いのできる人にキュンとします」という。来年には大学4年生となるため「売り子は来年がラストですね。もし大学を卒業できなくても、売り子は卒業するつもりです」と笑う。スタンドでは常時赤い靴を履いており、それが目印だ。

「野球の話でも、そうでなくてもいいので、ぜひたくさん話してほしいです。多分誰よりも長くお客さんと話している売り子だと思います。売っている時間を削ってでも、お客様とお話したいです。野球、ビール以外でもヤフオクドームで楽しんでいただきたいですし、その楽しみの1つになれたらと思っています」

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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