2年連続2桁弾も負傷に泣いた若き大砲 オリ吉田正が秘める来季への思い
「まさか」の腰痛発症―オリ吉田正の2年連続2桁弾の裏にあった試行錯誤
入団1年目の昨季、オリックスの新人選手として31年ぶりとなる2桁10本塁打を放った吉田正尚外野手。腰椎椎間板症で出場は63試合にとどまったものの、プロの世界でその名を知らしめる鮮烈なデビューを飾った。そしてさらなる飛躍が期待された2年目の今シーズンはまたもケガに苦しむ結果となった。3月下旬に腰痛が再発。開幕1軍を逃すと、復帰は7月と出遅れた。結果、64試合の出場で71安打、打率.301、12本塁打、38打点、1盗塁。そのすべてで1年目の成績を上回ったが、目標に掲げていたフル出場には遠く及ばなかった。
プロ2年目のシーズンを終え、本人はどう感じているのか。話を聞いた。
「シーズンをフルに戦いたいという強い気持ちがあって、やれることはやっていた。まさかでしたね」
吉田は腰痛が再発した当時の心境をそう振り返る。シーズン初盤はチームも好調を維持しており、「早く上に上がりたい」という気持ちが強かった。実戦復帰となった5月10日の広島との2軍戦では、第1打席の初球をフルスイングしてスタンドへ運んだが、グラウンドに立てた喜びよりも、「これでは1軍に上がってもすぐにだめだな」という不安のほうが大きかったという。翌日には患部の張りを訴え、1軍復帰は白紙に。再びリハビリに励む日々が続いた。
「焦るというよりは、だいぶ気持ちが落ちました。考えると歯がゆいし、なるべくプラスのことを考えて、ストレスを溜めないようにしました。『嫌でも明日は来る』と思いながら、次にやるべきことを考えていました」
2軍の本拠地、舞洲サブ球場にも復帰を待つファンが詰めかけた。「待ってるよ」という声は、本人の耳にも届いていた。応援してくれる人たちの期待に応えるためにも、出来る範囲でトレーニングを行い、なるべく外に出て気分転換を心掛けた。