日本一ホークス最大の痛手に? 鉄壁守備の“生みの親”鳥越コーチの退団

ホークス今宮は“鳥越チルドレン”の代表格【写真:藤浦一都】
ホークス今宮は“鳥越チルドレン”の代表格【写真:藤浦一都】

“鳥越チルドレン”の代表格だった今宮

 2006年に現役を引退した鳥越コーチは2007年、ホークスの2軍内野守備走塁コーチに就任。秋山幸二監督が監督に就任した2009年からは2年間、2軍監督を務めた。2011年からは1軍内野守備走塁コーチを務め、7年間に渡って選手を指導し、チームを支えてきた。

 鳥越コーチといえば、とにかく厳しいコーチであった。キャンプでは毎日のように全体練習終了後の特守で、若手野手を中心にノックの嵐を浴びせかけた。試合前の練習などでも、緩い空気を許さずに厳しく指導を続けてきた。ソフトバンクの試合前に行われるシートノックを見ると分かるが、一切の妥協を許さない、真剣味溢れるシートノックがグラウンド上では繰り広げられた。

 今季のチーム失策数は歴代最少タイとなる38失策。選手個々の能力の高さがあるのはもちろんのことなのだが、この鉄壁の守備を作り上げたのは、鳥越コーチのこれまでの働き、指導の積み重ねによるところもあった。

“鳥越チルドレン”の代表格が、今や押しも押されもせぬ球界を代表するショートストップとなった今宮健太である。2010年にプロ入りした際、鳥越氏は2軍監督だった。ルーキーだった今宮はプレー面だけでなく、生活態度や礼儀といった面を厳しく教え込まれたという。キャンプでの全体練習後の特守は、ファンにとっては見慣れた恒例の光景であった。

 その鳥越コーチが19年間籍を置いたホークスを去る。かつての盟友である井口が新監督となったロッテの1軍ヘッド兼内野守備走塁コーチとなった。パ・リーグの覇権を争う相手指揮官の参謀である。ホークスの手の内を知るだけでなく、妥協を許さないスタイルが浸透すれば、それはまた手強くなることだろう。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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