「サファテから一発」でブレイク 熾烈な外野争いに名乗りを上げるオリ23歳

本拠地初本塁打は「キング・オブ・クローザー」からの一発

 そして実際に、5年目となる今季は、これまでとは一味違うシーズンとなった。まずは4月18日の北海道日本ハム戦。わずか1点リードで迎えた9回表、追加点が欲しい場面。1死二塁で打席が回ってきた武田は、3球目をはじき返して右中間を抜く。チームの勝利に貢献するとともに、自らの23歳の誕生日に花を添えた。4月20日には値千金の同点アーチとなるプロ初本塁打。先発出場は少なかったが、限られた打席で確実に結果を残し、4月の月間打率は.400をマークした。

 武田の名前が大きく取り上げられたのは、何といっても5月17日、京セラドーム大阪で行われた福岡ソフトバンク戦だろう。4点ビハインドで迎えた9回裏2死。マウンドには「キング・オブ・クローザー」ことサファテ。オリックスベンチとファンに否応なく暗いムードが漂う中、武田はこの絶対的守護神の151キロを完璧に捉え、大きなアーチを描く。これはサファテに今季初失点を付けるとともに、武田にとっては本拠地初本塁打となった。

 結局、その後の反撃は叶わずチームは敗れてしまったが、この4年間不完全燃焼に終わっていた若武者の一発は、チームにとっても本人にとっても、価値あるものとなったことだろう。

 勢いに乗った武田は交流戦でも打ちまくり、期間中はチームトップの打率.382を叩き出す。これは12球団でも丸(広島)、松本(北海道日本ハム)に続く好成績だ。最終的には97試合61安打2本塁打14打点、打率.295という成績でシーズンを終えた。登録を抹消された期間もあったが、10試合出場に終わった昨季と比べると、飛躍的な成長を遂げたシーズンだったと言うことができる。

 当面の目標は「1年間1軍帯同」。来季もT-岡田、吉田正、ロメロ、マレーロ、駿太などによる熾烈な外野手争いが繰り広げられることが予想される。まだ若い武田は、経験や実績の代わりに無限の可能性という武器を備えているが、ステップアップに成功した今季、オフシーズンの過ごし方が今後のキャリアを左右するかもしれない。来季はレギュラーの座をつかみ、1つでも多くチームの勝利に貢献してくれることを期待している。

【動画】「サファテから一発」でブレイク…オリ武田健吾の積極性あふれる攻守まとめ

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY