肉体と精神に明らかな“進化” 世界を驚かせた2年生がU-18W杯で掴んだもの

指揮官も実感する変化「大人になりましたね」

 帰国後、新チームでは1番打者としてチャンスメークに徹した。だが、県大会では明石商に敗れ、センバツへの道が断たれた。以降、週末はほぼ練習試合をこなす日々だったが、日本代表を経た小園について、大角健二監督はこう話していた。

「大人になりましたね。何がというより、全体的な立ち振る舞いというか、練習での姿勢というか…。今までは何をするにも前に出る方ではなかったのに、今は何でも進んでやるようになりました。日本代表の高いレベルの選手の中で、意識が変わったんでしょうね」

 ただ、世界を経験して痛感したのは自身の体の線の細さ。そのため食事量を増やすなどして体重増量に努め、この秋だけで3キロアップに成功した。お陰で打球の勢いは明らかに変わり、晩秋を迎える頃にはホームランが飛び出す試合も増えた。11月初旬の3連休の3日連続アーチを含め、この秋だけで7本のホームランを放ったという。

「今は瞬発系の練習もしているので、体重を増やしてどれだけ動けるのかを見ながら体を作っています。去年に比べるとだいぶん体が大きくなったとは言われますけれど、もともと体質のせいで太りにくいんです。技術面ではもっとスイングスピードをつけたいです。そのために、いかに体脂肪率を低くして筋肉を増やすかを考えながら体を作っていくつもりです」

 センバツでもホームランを放ってはいるが、打球の質は春からは明らかに変わっている。今は秋の県大会で敗れてから表舞台から遠ざかってはいるが、春から着実に経験値を上げられたことは確かだ。

「今年はセンバツに出てそこで結果も残せて、世界の舞台でも活躍できたことはすごい経験です。夏の県大会で力を発揮出来なかったことは悔しかったですけれど…。この秋もそうでしたが、まだまだ課題は多いです。センバツは行けなくても夏の甲子園には絶対に出たいです。去年はセンバツがあったのでメニューが限られていましたけれど、今年は時間がたくさんあるので、まずは個人の能力を上げるいい機会だとプラスに考えています。もちろん、自分自だけでなくチーム全体がそう思わないと意味がないので、これから全員でそういう意識を持って、夏を目指したいです」

 長い冬を超え、進化した小園が来春、どんな姿を見せるのか。そして再びJAPANのユニホームに袖を通し、躍動するのか――。その勇姿を目にするのが今から楽しみでならない。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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