「憧れはダーグーシャンピン」―台湾にも大きな影響与える大谷翔平の存在感
代表チームメイトへの応援メッセージが大きな話題になった。
駒田英氏は、台湾野球好きが高じ、2006年に台湾へ。語学学校で中国語、大学院で翻訳、異文化コミュニケーションを学んだ後、台湾の政府系海外向けラジオ局に入社。記者、パーソナリティーを務める。台湾のスポーツ事情に詳しく、『台湾プロ野球<CPBL>観戦ガイド』(ストライク・ゾーン)に執筆者の一人として参加した。現地にて、台湾でも関心が高い陽岱鋼、大谷翔平の2人について聞いた(聞き手、広尾晃)。
――読売ジャイアンツに移籍した陽岱鋼は、満足とはいえないシーズンでしたが、台湾での反応は?
「名門球団との5年総額15億とも言われる大型契約、ということもあり、陽岱鋼のジャイアンツ入団は台湾でも大きな話題になりました。ただ、ご指摘の通り、昨年の怪我の影響で1月末にWBCを辞退、2月に『下半身の張り』で離脱、ようやく6月に1軍復帰し、8月は絶好調でしたが、9月は一転不調に陥り、ジャイアンツ初年度は87試合に出場、打率.264、9本塁打という成績に終わりました。
台湾では、ファンの期待に応え、読売ジャイアンツの主催ゲームが、CATVとインターネットTVのスポーツ専門局で中継されたほか、パブリックビューイングも数試合行われました。しかし、シーズン前半、肝心の『主人公』が欠場していたこともあり、盛り上がりは今ひとつだったように思います。
陽岱鋼本人も、オフに台湾で行われた記者会見で『満足な点はどこもない、来年は143試合フル出場することが目標だ』と答えました。来シーズン、陽岱鋼がファイターズ時代同様、元気なプレーでチームを牽引し、勝利に貢献する姿をみせれば、台湾でのジャイアンツでの注目度は自然にアップ、チームメイトも台湾で広く知られるようになると思います。
野球人気が高く、マニアックなファンも少なくない台湾ですが、スポーツに関心のある人の絶対数が多いかといえばそういうわけでもなく、興味のある人と、そうでない人の差が激しい印象があります。そうした中、陽岱鋼は、野球に興味がない人でも知っている、数少ない国民的なスター選手です。ルックスもよく、プレーヤーとして華があることはもちろん、家庭を大切にする陽岱鋼は、日系メーカーを中心に、いくつもの企業CMに起用されています。
オーバーエイジ枠で出場したアジアプロ野球チャンピオンシップでも、ファンの大きな声援を浴びていました。代表チームでキャプテンに指名された陽岱鋼は、練習の際には緊張する若手選手に自ら話しかけ、アドバイスもしていたようです。また、大会終了後、陽岱鋼は、自身のフェイスブックで24人のチームメイトへ、一言ずつ応援メッセージを送りました。ファンはこれに感動、4万件近くの「いいね!」がつくなど、大きな話題となりました。