八百長疑惑、エクスパンション構想 台湾球界の今を現地記者が語る
エクスパンションにはオーストラリアと沖縄が興味示す
――またCPBLではアジア圏や沖縄を巻き込んだエクスパンションを考えているとも報じられました。
「CPBLによる海外戦略というよりは、第5、第6の球団がなかなか決まらない中、海外から積極的に参入を希望する動きが出てきているという形でしょうか。CPBLは2008年に2球団が解散、2009年から4球団で行われています。4球団という状況は、リーグ全体の競争力低下につながっています。
また、対戦カード数の少なさはマンネリを生むことから、2球団増やし、再び6チームに戻すことを望む声がファンから寄せられています。将来的な参入を目標としているアマチュアチームはあり、CPBLもこれまで動いてはきたものの、参入には至っていません。CPBLは9月、エクスパンションのための新制度を公表、11月初旬にアマチュアチームをもつ綺麗珊瑚グループが興味を示しました。
さらに、11月にはABL(オーストラリアン・ベースボールリーグ)、そして沖縄の民間の関係者がCPBLに対し、リーグ参入への関心を示しました。ABLのキャム・ベイル最高責任者は、11月初旬にCPBLの呉志揚コミッショナーを訪問し、両リーグの提携について討論したほか、リーグ参入規定について聞き取りを行い、台湾に合資会社を設立してチームを編成し、リーグに参入する意欲を示したとされています。ベイル最高責任者は11月下旬にも『1軍でも2軍でもいい』と、参入への強い意思を示していました」
――沖縄はどうなんでしょう。
「沖縄ですが、バッティングセンターなど、アミューズメント施設も展開する台湾のディベロッパー『タロコグループ』が沖縄とのパイプ役となっています。東京で『ENEOS アジアプロ野球チャンピオンシップ』が開催された際には、CPBLの呉会長が、謝長廷・駐日代表を訪問、『タロコグループ』の謝国棟・総経理が立会って意見交換を行いました。
国内球団の参入を想定している現行規則では、新加入球団はドラフトを通じて選手を獲得することとなっています。ただ、両者はチームを編成した上での参入を目指していること、また、参入にあたり、海外資本は50%を超えてはならないと決められていることなど、様々なハードルがあります。これらのテーマについては、12月中旬に各球団のGMが出席する会議で討論されるということです。
CPBLの呉会長は、基本的には台湾の企業が第5、第6のチームとして参入し、その上で、ABLや沖縄が参加すれば面白いとの見方を示していますが、オーストラリア、沖縄が第5、第6のチームとなることも選択肢の一つだと話しています。これは私個人の考えですが、CPBLは台湾野球の最高峰のリーグであると共に台湾選手の育成の場でもあり、基幹となる6球団は台湾企業が長期的なプランをもって運営していくべきだと考えます。こうした交流は大歓迎ですが、具体的なプランが明らかにならない現段階では期待よりも不安の方が大きいです。なにより、国際大会で結果を求めるならば、まず自分たちでCPBLを盛り上げていくことが必須です。この11月の法改正で、自治体や公営企業のスポーツ産業への投資が、条件付きで解禁されましたので、これが新球団参入につながることを期待しています」
(広尾晃 / Koh Hiroo)