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名打者・篠塚和典氏が語る打撃の極意 イチローも使うバットの秘密、驚異の技術

打者にとって“命”とも言えるバット。こだわりは選手それぞれで違うが、篠塚和典氏とイチロー外野手という日本が生んだ2人の安打製造機のバットが、ほぼ同じモデルであるという事実は興味深い。天才打者は何を考えてバットを選び、打席に入り、ヒットを量産していたのか。巨人で通算1696安打を記録し、2度の首位打者も獲得するなど輝かしい実績を誇る篠塚氏の“思考回路”に迫った。

篠塚氏が見るイチローとの共通点、「最近はボールを操る感じの打者がいない」

「コースというよりも速さですね。真っ直ぐを投げてくるピッチャーの一番速いボールを自分で描いて、それに合わせていく。その速さでくれば70、80%で振っていくけど、遅いボールというのは抜かれるので、思い切りは振れない。そこを自分の中で60%、50%くらいでバットをポンと出していくだけで、ミート率が上がる。抜かれても(100%で)ガンと打つほど、ミート率は悪くなるんです。

 自分は練習の時から、バッティングピッチャーが投げてくる110キロくらいのボールでも、130キロくらいのちょっと速いボールを意識しながら、変化球を投げてもらっていました。それで泳いだ時にポンとバットを出すと、どのくらいの力、スピードで出していったら確率がいいのかが分かります。これは練習からやっておかないと。そして、練習で出来て、今度は試合で出来ると、それが自信になる。毎年、その繰り返しですよ。

(年間で)500、600くらいしか打席はない。その中で、泳がされて打つほうが多いんですよ。イチローもそうだけど、抜かれた時とか、難しいコースに来た時はちゃんとした形では打てないので、いかにその時に確率よくバットでボールを捉えるかが大事。だから、練習の時から多少、崩された時に打つ練習しておかないと。そういうバッターは率が残る。イチローなんてワンバウンドで打っちゃうくらいだから」

 この打撃を実現させるために作り上げたのが、篠塚氏のバットだった。そして、この“篠塚モデル“のバットは、本人の話の中にも出てきたイチロー外野手が使っていることでも知られている。イチローはルーキーイヤーに“篠塚モデル”のバットを使い始めてから、ほとんど基本的な形を変えていないとされており、今季までに“世界最高”の日米通算4358安打を記録してきた。2009年の第2回WBCでは、打撃コーチと選手として日本の連覇に貢献した2人。篠塚氏は、自身とイチローの打撃の共通点をどのように見ているのか。

「色んなボールが来るんだから、打者も1つの方向ばかりに打っていては(ダメ)、と思います。最近のプロ野球を見ていると、反対に打つバッターもいたりするけど、ボールを操る感じのバッターがいないですね。イチローのような。自分もそういうタイプだったのですが、最近は力で打っていくバッターが多いかなという感じはします。(フェアゾーンの)90度をうまく使っていくというバッターは、あまり見ていないなという気がしますね。

 イチローも、泳いでも捉えていく。泳いでもいい、詰まってもいい、という感覚のバッターだと思います。だから、すごくバッティングの幅が広い。今の選手は、きれいな形で打とうという意識が強すぎる。だから、ちょっとした変化球にも確率が悪い。泳がされて打つバッターの方が確率がいい。詰まったり泳がされた時にどう打ったらいいというのが(イチローの)頭の中にはあると思います」

 篠塚氏と同じような感覚でバットを使いこなしているのが、イチローだということになる。そして、きれいな形で打つ必要はないと考えていただけでなく、そのバットを操って意図的に詰まらせたり、高くバウンドをさせることもあったと、篠塚氏は振り返る。

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