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名打者・篠塚和典氏が語る打撃の極意 イチローも使うバットの秘密、驚異の技術

打者にとって“命”とも言えるバット。こだわりは選手それぞれで違うが、篠塚和典氏とイチロー外野手という日本が生んだ2人の安打製造機のバットが、ほぼ同じモデルであるという事実は興味深い。天才打者は何を考えてバットを選び、打席に入り、ヒットを量産していたのか。巨人で通算1696安打を記録し、2度の首位打者も獲得するなど輝かしい実績を誇る篠塚氏の“思考回路”に迫った。

「わざと詰まらせる」―驚異の技術、G最強助っ人も篠塚氏の打撃を参考

「詰まったり、先で打ったりということは、必ず試合ではあることです。だから、先で打ったらどのくらいの力にしたらいいのか。バットの先で打つほど、80%か90%で打ったら折れてしまう。詰まった時も、目いっぱい振ったら折れてしまう。ただ、力を抜きながら折れない感じでいくと、ちょうど内野の頭を越える打球になったりする。それが毎試合、毎試合できるわけじゃないですけどね。

 ランナー二塁でちょっと足の遅い走者がいたら、いい当たりを打ったら(本塁まで)帰れないわけじゃないですか。だから、詰まらせて打ったり、先で打ったり、高いバウンドでピッチャーの頭を抜いていったり、そういうのを頭の中で描きながらバッティングしていました。そう考えると、バッターボックスの中でものすごく楽しいじゃないですか。ランナーが松本(匡史)さんくらいだったら、何も考えずに普通に打ってある程度(本塁まで)帰れるけど、ピッチャーというケースもあるから。その時には色々考えて入ったりします。そうすると、バッターボックスの中で楽しいですよ」

 まさに驚異的な打撃技術だ。もっとも、篠塚氏は「あのバットは難しいですよ。細いから、普通のバッターは感覚的に頼りなさを感じるんじゃないでしょうか。太くないと当たらない、と」とも明かす。巨人史上最強助っ人とも表現されるウォーレン・クロマティ氏からは、思わぬものに例えられていたという。

「クロマティにはよく『爪楊枝』と言われていたから(笑)。『シノさんのバットは爪楊枝だ』と。クロマティのバットは、グリップは細いんだけど、先が太いやつでした。僕は、ちょっと状態が悪いなと感じても同じ感覚で入っていってしまうので、何を変えたら違う感覚でバッターボックスに入れるかといったら、自分で握ってるバットだったんです。だから、逆にクロマティのバットをよく使っていました。全く違う感覚で(打席に)入れるので、それでけっこう自分のバッティングを取り戻したりできたんです。

 僕たちが現役の頃はみんなバットケースにバットを入れていたから、そこから黙って新しいやつを抜いて打っちゃったりして。で、それで打ったら、次に『さっき使ったからまた貸して』と言って、クロマティから2、3本バットを借りて、練習で使ったりしていましたよ」

 一方で、クロマティ氏は篠塚氏の打撃を参考にして、日本でも好成績を残した。「最初はメジャーから来たということもあるから、大きいのを打たなきゃいけないと、ほとんど引っ張りだった」というが、日本でのキャリアをスタートさせてから、チームメートの天才打者の打撃を見たことで「俺もシノさんみたいなバッティングをしたい」と“意識改革”。篠塚氏は「反対方向に打つのをちょっと意識してやったりしたみたい。そうしたら首位打者までとりました(笑)」と振り返る。

 篠塚氏の天才的な打撃をメジャーからやってきた最強助っ人までも参考にしていた。その影響力は絶大だったと言える。

(Full-Count編集部)

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