「3年以内の支配下登録」達成 激戦区に挑む楽天20歳外野手への期待

「守備と走塁を生かして」―来季目標は「開幕1軍」

 この時点におけるファーム成績は、72試合3本塁打30打点5盗塁、打率.249。しかし、背番号が軽くなったことがいいきっかけとなったのか、以降さらに成績を上げていく。最終的に105試合に出場し、102安打5本塁打40打点9盗塁、打率.281。102安打はイースタン・リーグトップの廣岡選手(東京ヤクルト)に次ぐ数だった。また、アマチュア時代から定評のある外野守備においてはわずか3失策と安定。リーグトップタイの補殺9も記録している。

 今季の楽天は激しい2位争いを繰り広げ、クライマックスシリーズファイナルステージに進出したこともあり、1軍の試合出場は叶わなかった。しかし、10月に宮崎で行われた「第14回みやざきフェニックス・リーグ」では打率.412と打ちまくる。自身初の秋季キャンプにも参加し、持ち前のバットコントロールを披露して梨田監督から高評価を得た。

 11月29日の契約更改では「守備と走塁を生かして来年は開幕1軍を目指します」と語った八百板。背番号も再び「95」から「57」へ変更となり、チームが八百板のさらなる成長に期待を寄せていることがうかがえる。しかし、楽天の外野は相変わらず激戦区だ。全試合出場を果たした島内選手や強打者のペゲーロ選手は不動のレギュラーであり、田中選手やオコエ選手など、八百板同様に機動力のある若手も台頭してきた。

 つまり八百板は来季、「開幕1軍」の目標を達成するために、まずはチーム内の激しいポジション争いに勝ち抜かなければならない。思えばプロ野球の世界は、常に数少ない「枠」を巡る競争の連続だ。ごく一握りの選手だけがプロの世界に入ることを許されるが、その後もファームのスタメン、1軍の選手登録、レギュラー、スタメンなど、チーム内でさえどんどん「枠」は絞られ、競争は激化していく。

 そして八百板は3年前、育成選手として指名を受けた。17歳の少年の前に伸びる道は、他の支配下選手よりもさらに長く、険しいものだったに違いない。それでも、最初に掲げた目標通りに支配下登録枠を勝ち取ってみせた。入寮の際には、左手に兄からの贈り物であるグラブをはめ、右手でくまのプーさんのぬいぐるみを抱きしめ、素朴な笑顔を浮かべていた八百板。穏やかな表情の下に、静かな闘志を秘めて。2桁の背番号で、4年目の来季はまた新たな一歩を踏み出す。

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