野球の女神に引き戻されること3度…今季引退ロッテ古谷と野球をつなぐ縁

2013年にはノーヒットノーラン未遂

 翌年以降は不調に苦しみ登板数が減少、2012年はわずか10試合の登板に終わった。そこで、伸び悩んでいた古谷投手にコーチが先発転向を打診。プロ8年目で先発という新たなチャレンジを迎えた。

 先発として挑戦した2013年、開幕1軍入りはならなかったが、5月30日にイースタン・リーグの横浜DeNA戦でノーヒットノーランを達成。この投球が評価されて6月に1軍昇格を果たし、2度目の先発登板となった6月26日のオリックス戦では9回2死までノーヒットノーランを継続していたが、坂口選手(現・東京ヤクルト)に三塁打を打たれ、あと一歩のところで大記録達成を逃してしまった。しかし、次の打者を打ち取り初完封、先発初勝利を手に入れた。その後はローテーションの一角としてシーズン終了まで活躍。15試合に先発登板し、自己最多の9勝、防御率2.73でチームのAクラス入りに貢献した。

 翌年は開幕からローテーション入りするが、交流戦から徐々に調子を落として中継ぎへ。シーズンを通して7勝、防御率は4点台と大きく成績を落とした。2015年、16年と期待に応える投球ができずに登板数が大きく減少し、2017年は1軍登板なしに終わって引退を決意。プロ12年間で通算148試合登板、23勝の成績を残した。

 平均140キロの直球、スライダー、カットボール、チェンジアップ、カーブを操り、コーナーを突く技巧派左腕としてプロの世界で戦った古谷投手。チームが史上最大の下克上を成し遂げた2010年の活躍や、2013年の“ノーノー未遂”など、ファンの記憶に強く残る投手であったことは間違いないだろう。

「現役での一番の思い出は2010年に日本シリーズに登板をして日本一を経験できたことです。個人的には2013年のオリックス戦でノーヒットノーランを逃したこともありますが、あくまで個人的なことです。営業マンとしてノーヒットノーラン級の仕事ができるように頑張ります」とユーモア溢れるコメントを残した古谷投手。チーム、ファンから愛された技巧派左腕が12年に及ぶ厳しい戦いにピリオドを打ち、第2の人生を歩みだした。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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