U-18代表に見る、オランダ野球の強さの秘密 本土で何が行われているのか
練習内容はバッティングに特化、基本的に全ての打者がホームランを目指す?
ではU18のオランダ代表はアムステルダムの施設でどのような練習をしているのか。練習は学校前の朝(7時30分~)と放課後(16時~)の2回に分けて行われている。日本のようにオフシーズンや大きな大会後に招集といった形ではなく、年間通して集まり、練習が行われている。寒さのため、シートノックは7月か8月のみだ。
練習内容はバッティングに特化したメニューが多い。基本的には全ての打者がホームランを目指す。そして、速いストレートを遠くに飛ばすために、という理念のもと指導が行われている。なので「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」の日本代表に対するオランダスタッフの評価は「パワーがないね」ということだった。実際に、過去の世界大会のデータを見ても、日本代表は140キロを超えるストレートに対しての打率が大きく減少することがわかっている。指導、考え方の違いが結果として現れているのかもしれない。
印象に残った選手を聞くと田浦文丸(ソフトバンク)の名前が。オランダ代表陣は「ストレンジアップ(変わったチェンジアップ)!」と絶賛していた。
オランダには、シーズンオフの期間にはバスケットボールやバレーボールなど他種目を行う「Another Sports Day」が存在する。また、施設には練習後すぐにバランスよく食べられるように、食事が準備されており、メニュー、栄養素の説明がされるなど徹底されている。日本の高校野球の施設のように、該当する部活しか使えないというわけではない。我々が見学した時には女子サッカーに加え、お金を払えば一般人も利用できるようになっていた。量も好きなだけ、食べられる。
今後オランダの野球はさらなる発展を遂げるであろう。その根底には野球協会の組織が円滑、かつ柔軟に運営をしていること、代表チーム強化のために様々な分野のスペシャリストが連携していることがあげられるのではないかと現地で感じることができた。大会直前に集まるU-18日本代表と、約1年寝食を共に過ごし、練習する代表では大きな差が生まれる可能性もある。
(大森雄貴 /yuki-omori、坂口拓也 / takuya-sakaguchi)