西武にとって34歳ベテランの存在とは 2008年V戦士・栗山が見せる貢献度

西武・栗山巧【写真:(C)PLM】
西武・栗山巧【写真:(C)PLM】

数少ない西武2008年V戦士、栗山の計り知れない貢献度

 2012年から埼玉西武のキャプテンを務めていた栗山巧外野手は昨オフ、その胸のCマークを浅村栄斗内野手に譲った。まだ若く、キャプテンタイプではないと言われ続けた浅村も、人生初の肩書きに四苦八苦しつつ、昨季までとはひと味違う姿を見せてくれた。だが、栗山が埼玉西武に欠かせない存在であることは変わらない。キャプテンの座を退いたからこそ、今季は改めてそう思わされることも少なくなかったのではないだろうか。

 栗山は今年で34歳。生粋の「神戸っ子」であるが、16年間埼玉西武一筋を貫いている。三振が少なく粘り強く、広角に打ち分けられる打撃、優れた選球眼、ここ一番での集中力。そして何より、徹底した自己管理によってシーズンを戦い抜くプロ意識の高さが、最大の魅力だ。その姿勢がチームに与える好影響は計り知れないほどで、グラウンド内外における貢献度を、単純な数字で表すことはできないだろう。

 ただ、そんな確かな実力と「日本のジュード・ロウ」と称されるほどの端正なマスクを兼ね備えながら、いぶし銀のプレースタイルのためか、2015年までオールスターゲームの出場経験はなかった。しかし、2016年に初出場を果たすと、初打席で劇的な初本塁打を放つ。シーズン中はチーム事情に応じてさまざまな打順を任され、多くの制約がある中で黙々と自身の役割を果たしてきただけに、思いきりバットを振り抜いた末の豪快アーチは、まさに「プロ野球ファンの誰もが喜ぶ一発」となったと言っていいだろう。

 そしてCマークを外して迎えた今季、栗山は一選手として、好調なスタートを切った。開幕直後の4月7日の福岡ソフトバンク戦では、早くも節目の1500試合出場を達成。しかし、翌日、遊ゴロで一塁に駆け込んだ際、一塁手・内川聖一選手との激しい交錯を回避しようと身体を投げ出し、右足を不自然に捻ってしまう。さらに勢い余って地面に叩きつけられ、すぐには立ち上がることさえできなかった。のちにふくらはぎの炎症と診断されたが、以降、代打あるいは守備に就かない指名打者としての出場機会が増加することになる。

10年ぶり規定打席到達逃すも放った存在感、“サヨナラ男”の風格も

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