東京五輪に向けても着々と強化、将来の野球強国へオランダが秘める可能性
地元野球少年にすら知られていないオランダの国内リーグ
オランダの野球少年に「フーフトクラッセって知ってる?」と質問すると、ほとんどの答えは「NO!」。国内でも知る人ぞ知る野球リーグだ。しかし、WBCで2大会連続で4強入りしたオランダ代表メンバーには、このリーグ出身の選手が複数か選出されている。元楽天のルーク・ファンミル投手も所属するフーフトクラッセについて、現地にて調査を行った。
欧州で最強を誇るオランダ。しかし野球はマイナースポーツに位置付けられている。オランダの総人口が約1500万人。うちサッカーの競技人口は約100万人とされる一方で、野球は1万人にも満たないと言われている。オランダシリーズ(日本での日本シリーズにあたる)の開幕戦でも、観客はまばら。観客を収容できる球場自体が少なく、欧州随一のスタジアムを持つキュラソーネプチューンズでさえ、経営は厳しい。フーフトクラッセでは、チケット代金を取ることはほとんどないため、収入の大部分は球場内の飲食店収入及びアカデミー料金、スポンサー収入に頼っているのが現状だ。
フーフトクラッセにはオランダ王立野球・ソフトボール協会(KNBSB)が定める独自のルールが幾つか存在する。KNBSBとしても、国際大会優勝を目指し個々人のレベルアップを目的とするため、フーフトクラッセに所属しながら、AAA、マイナーリーグ、NPBに挑戦することを認めている。たとえシーズン途中で解雇されたとしても、フーフトクラッセの所属チームで即座にプレー再開ができる柔軟なシステムがある。
この日のキュラソーネプチューンズの1番で出場していたスティン・ファンデルメール選手はWBC代表にも名を連ね、今年はメジャーリーグへ挑戦(FAはなく、挑戦したかったら挑戦できる)した。しかし、マイナー時点で契約を打ち切られてしまい、再びネプチューンズでプレーをしている。
このシステムのおかげで、ファンミル投手(2016、2017年オーストラリアベースボールリーグにてプレー)のようにシーズン終了後、他国のリーグにてプレーをすることも可能だ。