驚愕の強肩&悪球打ちで通算打率“イチロー超” 殿堂入りしたゲレーロの魅力
2004年エンゼルス世界一に貢献、MVPを獲得
2003年オフにFAになり、アナハイム・エンゼルスに移籍。以後も中心打者として活躍したが、同地区のシアトル・マリナーズとの試合では、イチローとゲレーロの「強肩右翼手」同士の対戦が見ものだった。2004年にエンゼルスはア・リーグ西地区で優勝。ゲレーロは206安打、39本塁打126打点15盗塁、打率.337をマークし、MVPに輝いた。
ひざを痛め、2008年頃からDHでの出場が多くなる。それでも強打者ぶりは健在で、2005年から4年連続で最多敬遠を記録。リーグが代わっても相手投手に怖れられた。
時期が重なるため日本人投手との対戦も多かったが、特に吉井理人を得意にしていて15打数7安打4本塁打、打率.467を記録している。野茂英雄とは17打数4安打0本塁打、打率.235、石井一久とは10打数2安打0本塁打、打率.200、松坂大輔とは14打数5安打0本塁打、打率.357だった。
2009年オフにFAとなり、テキサス・レンジャーズへ移籍。この時期にはDHで打つだけの選手になっていたが、2010年には29本塁打115打点、打率.300を記録。ゲレーロと入れ替わりでエンゼルスに入団した松井秀喜が、同じ年に21本塁打84打点、打率.274に終わったことから、エンゼルスファンの間ではゲレーロ放出を問題視する声も上がった。
2011年はオリオールズでプレー。2012年はシーズン途中の5月にブルージェイズとマイナー契約したが、6月に退団。その後は母国のウインターリーグに参加したり、独立リーグでプレー機会を探したが、2014年3月31日にエンゼルスと1日限定契約を結び、正式に引退した。
メジャー通算成績は次の通りだ。
2147試合 8155打数2590安打449本塁打1496打点181盗塁 打率.318
MVP1回、最多安打1回、シルバースラッガー賞8回、オールスター選出9回
獲得タイトルは少なかったが、通算打率はイチロー(現時点で.312)を上回っている。ドミニカ共和国出身選手では、安打数はともに現役のエイドリアン・ベルトレ(3048安打)、アルバート・プホルス(2968安打)に次ぐ歴代3位、本塁打数は歴代6位となっている。
走攻守に素晴らしいパフォーマンスを見せただけに、当然の選出と言えるだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)