612本塁打で殿堂入り ジム・トーミは1990年以降最高の長距離打者の一人

薬物問題には無縁、確実視されていた有資格初年度での殿堂入り

 193センチ113キロの巨体は、投手に対しての威圧感充分。すさまじいスイングで、ボール球にはなかなか手を出さない。30代後半に差し掛かっても、トーミはリーグ屈指の怖い打者だった。

 大投手ロジャー・クレメンスにはめっぽう強く、62打数22安打8本塁打、打率.355を記録。クレメンスはトーミに最も安打を配給した投手になっている。

 日本人投手との対戦も多い。マック鈴木は15打数9安打3本塁打、打率.600とカモにしたが、左の石井一久は12打数1安打、打率.083。しかし、その1本は本塁打。伊良部秀樹とは14打数3安打1本塁打、打率.214。木田優夫は3打数1安打1本塁打、そして高津臣吾は1打席だけ対戦し、1本塁打となっている。

 2009年8月にホワイトソックスからドジャースに移籍してからはツインズ、インディアンス、フィリーズ、オリオールズとチームを転々とし、2012年に41歳で引退した。

通算成績は 
2543試合8422打数2328安打612本塁打1699打点19盗塁 打率.276
本塁打王1回、シルバースラッガー賞1回、オールスター選出5回。

通算612本塁打は歴代8位。

1、バリー・ボンズ 762本
2、ハンク・アーロン 755本
3、ベーブ・ルース 714本
4、アレックス・ロドリゲス 696本
5、ウィリー・メイズ 660本
6、ケン・グリフィーJr 630本
7、アルバート・プホルス 614本
8、ジム・トーミ 612本

 8人のうち、薬物問題を起こしたボンズ、殿堂入り候補になる年限が来ていないアレックス・ロドリゲス、現役のプホルス以外の選手は殿堂入りしている。薬物には無縁でもあり、殿堂入りが確実視されていた。

 トーミは1990年以降で最高の長距離打者の一人と言ってよいだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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