【カリビアンS】昨年ハリケーンで甚大被害のプエルトリコ、国民に勇気を与える準決勝進出

ベネズエラを下して1次リーグ突破を決め、ハイタッチを交わすプエルトリコの選手たち【写真:福岡吉央】
ベネズエラを下して1次リーグ突破を決め、ハイタッチを交わすプエルトリコの選手たち【写真:福岡吉央】

打線爆発でベネズエラに勝利、昨年9月には「マリア」の影響でライフラインが完全ストップ

 カリビアンシリーズ前年王者のプエルトリコが5日(日本時間6日)、ベネズエラに12-7で勝利。1次リーグの成績を2勝1敗とし、キューバ、ベネズエラに続く準決勝進出を決めた。序盤の3回までに9得点と打線が大爆発。すでに1次リーグ突破を決め、前日4日のナイター後のデーゲームとなったお疲れモードのベネズエラ相手に容赦なく得点を重ね、リードを守り切った。

 国民に勇気を与える1次リーグ突破だ。昨年9月下旬にプエルトリコを襲った大型ハリケーン「マリア」の影響で、その後、全土が停電となり、断水もしばらく続くなど、国内のライフラインが完全にストップ。10月から行われる予定だった国内でのウインターリーグは開催自体が危ぶまれたほどだった。最終的に開幕を大幅に延期し、試合数を縮小して今年1月から国内リーグを開催することに決定。当初は5チームが参加予定だったが、開催可能な球場が確保できず、1チームが出場を辞退。計4チームがそれぞれリーグ戦18試合を戦った後、プレーオフを経て王者を決める形に縮小された。電力不足のため、開幕戦などを除き、ほとんどの試合がデーゲームでおこなわたという。

 本拠地を使用することができず、全試合を隣町の設備が不十分な球場で戦うハンディを背負うことになったクリオージョ・デ・カグアスだったが、リーグ戦を11勝7敗で首位通過すると、プレーオフ決勝で3連勝を飾り、わずか計21試合で2年連続となるカリビアンシリーズ出場権を獲得。ルイス・マトス監督はメキシコ入り後、「今年は試合数が少なかったから、まだスプリングトレーニングを終えたばかりだよ」と、ジョーク交じりに話していたが、昨年に続く1次リーグ突破に「(1勝3敗ながら突破となった)去年とはまた違った試合になったね」と、感慨深げに話した。

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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