広島ドラ1入団から8年目、30歳迎える右腕の胸中 丸坊主に見た「気合」
胸に秘める強い決意、「チャンスが来たら絶対につかむ」
「結婚して何か変わればなって……。公式発表する前なんですけど、結婚することにしたんです。食事とかの生活面が安定するって言う人が多いじゃないですか。ともかく先も長くないような気もしてきたので、やれることは……、というのもあって」
結婚は人生において最も大きなターニングポイントとも言える。もちろん素晴らしい伴侶と出会えたことが一番大きいだろう。だが「やれることは何でもやろう」という福井の気持ちもよくわかった。その後自身の背番号に合わせて11月11日に結婚をした。
かつてのドラフト1位。 ルーキーイヤーの11年に8勝、15年には2桁まであと少しで手が届く9勝を挙げた。次期エースと常に期待されながらも7年の月日が流れた。
「たまに思いますよ、僕が左投手だったらどうだったんだろう? 下手投げや2段モーションの変則投手だったら? でもそんなこと言ってもしょうがないですからね。とにかくやれることをやる。今、投球フォームにも手応え感じつつあるので、それを固めてチャンスが来たら絶対につかむって」
自分に素直で感情をそのまま出してしまうから誤解も生む。「福井は太陽というより不器用な月のようだ」と言った人がいた。確かにそういう部分も多い。損をしていることが多いのもよくわかる。
しかしやはり福井は太陽だと思う。彼に最も似合うのは、結果を出した時に自信満々にみせる、あの太陽なような満面の笑顔なのだ。丸刈りのキレイな頭を見ながら、改めて感じさせてくれた。
(山岡則夫 / Norio Yamaoka)
山岡則夫 プロフィール
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。