天国と地獄を見たプロ10年 オリックス伊藤が激白「捕手としていたい」

16、17年は出場機会を増やすため一塁、三塁に挑戦

 16、17年は打撃を生かすため、本職ではない一塁、三塁を守ることもあった。ただ、どんな時でも頭の中にあるのは「捕手・伊藤光」だった。三塁を守っていても、ベンチから試合を見る時も配球や投手の状態を気にする自分がいた。オフの契約更改では捕手一本で勝負したい思いを球団に伝えた。だが、それは出場機会が減る可能性もあり自分自身の首を絞めることになるかもしれない。それでも、それ以上に捕手への思いは強かった。

「正直、内野をやるようになった時はどんな形でも試合に出たい思いがあった。でも、捕手としていたい。純粋に捕手としてのこだわりを持っています。一度、試合中に三塁から捕手にいってボールを受けることがあったんですが、さすがにそれは無理、厳しいなと感じました。投手にも迷惑になる。中途半端ではないですが、自分に責任を持てないと思った」

 2014年10月2日対ソフトバンク戦(ヤフオクD)。負ければV逸、勝てば残り2試合に連敗しない限り優勝だった「10・2決戦」。延長10回にサヨナラ負けを喫して涙を流し、その場で起き上がることができなかった。あの時の悔しさを忘れたことはない。負けられない、緊張感のある中で1年間を過ごせたことは今も財産になっているという。

「4月から首位を走って、追い越されて追いついて。シーズンの中であと1勝できれば優勝することができた。でも何かが足りなかった。優勝するために何が必要なのかを考えるようになった。中島さん、小谷野さん、(山崎)勝己さんにも色々と聞きましたが、皆言葉にするのはやっぱり『追われる立場のほうが辛い』と。その経験がなかった。でも、14年を経験できたことが自分の強みにもなると思っている。今のメンバーを見ても、勝己さんと自分だけですし」

オフは中島と米ロスで自主トレ、「すべての価値観が変わりました」

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