「日本のレベルの高さを見せたい」33歳ルーキー牧田和久が心に秘める誇り

ブルペンで投球練習を行う牧田和久【写真:西山和明】
ブルペンで投球練習を行う牧田和久【写真:西山和明】

リクエストに応じたカーブで想像以上のインパクト、周囲は「ワオッ」

 米アリゾナ州ピオリアにあるパドレスのキャンプ施設に「ワオッ」と驚きの声が響いた。20日(日本時間21日)に今季から加入した牧田和久投手がブルペンでカーブを投げた時、周りに集まったコーチ陣やマイナー選手たちは目を見合わせて、思わず笑うしかなかった。「見たい、と言ってもらいましたし」とリクエストに応えての1球は、想像以上のインパクトを残したようだ。

 今キャンプ2度目のブルペン投球で40球を投げた右腕は、初めてのメジャーキャンプにも動じる様子はなく、「そんなに慌てず、自分の状態を把握しつつ、その中で持っているものを出すだけ」と話す。ボールの違いや気候の違いからくる「球の滑り」にも、日本のように休日をこまめに挟まないキャンプ日程にも少しずつ馴染んできた。「日本では疲れている時にお風呂に浸かるという習慣があった」というが、滞在先のバスタブが浅いため、キャンプ施設にある風呂で代用。開幕に向けては「プラン通りに来ている感じです」と充実の表情を浮かべる。

 そんなベテラン右腕でも、高ぶる気持ちを抑えなければならない場面がある。冒頭のように、日本からやってきたアンダースロー投手の様子を見ようと、コーチや選手がブルペンの周りに集まってくる時だ。「見られている分、ちょっと頑張ってしまう部分があって…。そこは抑えないといけないな、と」と張り切る自分をバツが悪そうに笑うが、その根本には日本の野球に対する誇りがある。

「自分が日本から来て、1年目のルーキーではありますけど、ベテランでもある。やっぱり日本から来たからには『すごい』っていうんじゃないですけど、日本の素晴らしさ、日本のレベルの高さを見せたい思いがあって、張り切ってしまう部分があります」

 メジャーでは1年目でも、西武でプレーした7年の経験は、他の“新人”との大きな違いだ。日本で積み重ね磨いた技術がどこまで通用するか、そしてメジャーでの経験を通じてどこまで成長し続けられるのか。33歳ルーキーは心に誇りを秘めながら、新天地での戦いに挑む。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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