育成出身初の開幕投手 ホークス工藤監督の指名に見せた“千賀らしさ”

和田も「然るべき人が開幕投手になった」、「誰も異論はない」

 2018年の開幕投手には千賀と、昨季16勝で最多勝に輝いた東浜巨投手、そして実績あるベテランの和田毅投手が候補と目されていた。だが、昨季、左肘の故障に苦しみ4勝に終わった和田はキャンプ中盤に左肩の違和感を訴えて別メニューとなった。その状況からも、千賀か東浜かの2択だったといえる。

 その中で指揮官はなぜ千賀を選んだのか。まず2年連続2桁勝利の千賀に対し、昨季最多勝の東浜は一昨年は9勝。シーズンを続けての実績といえば、千賀に分がある。指揮官はもちろん東浜の力は高く評価している。だが、それ以上に千賀のポテンシャルを買い、さらに現時点ではまだ千賀のポテンシャルを引き出しきれていないと感じているのではないだろうか。

 もちろん、現時点での力からも、開幕投手にふさわしい人選だ。ベテランの和田も「然るべき人が開幕投手になったと思います。僕は千賀か巨かと思っていた。チームにとって誰しもが納得する選択。誰も異論はないと思う」と語る。ただ、それ以上に工藤監督は千賀に大役を任せることによる責任感、使命感などで、打者を圧倒する、誰も手をつけられなくなるような絶対的な投手へ“化ける”ことのキッカケとなることを期待している。

 千賀自身は大役を任されても、その様子に変わりない。いつも通り飄々としたものだ。「気持ちは全然変わりないです。やることは変わらないですから。僕のやることに変化はない。任せられるということは、1年間軸としてしっかり回ることだと捉えています。1年しっかり軸として戦えるようにトレーニングをしていければ、と思います。開幕投手だからどうの、というのはありません」。育成出身選手で史上初めてとなる開幕投手。この経験が、千賀をとてつもない投手へと飛躍させるキッカケとなるかもしれない。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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