味方に「何とかしてくれ…」と言われたことも 牧田和久が明かす投球術の秘話
先発、クローザーを経験しても変わらない思い
プロ入り以来、さまざまなポジションを任されてきた。しかしクローザーであろうが、先発であろうが考え方は変わらず至ってシンプル。調子の波を少なくして安定感のある投手になることである。
「『自分の投球スタイルをしっかり確立して捕手の構えたところにしっかり投げる』こと。あとは、『外すべきところはしっかり外す、勝負ならしっかり勝負する』という、メリハリをはっきりさせる。そういうことをを意識している」
「理想は大崩れしない安定した投手。シーズンをやっていく中でメッタ打ちをくらって降板する時もあるとは思う。絶対に調子が落ちる時がある。それをいかに少なくしたり、調子の落ちている期間を短くするか。例えば、イチローさんは世界を代表する素晴らしい打者。でもシーズンを通じて常にずっと調子が良い時ばかりではない。調子が落ちて来る時も必ずある。でも調子が悪いなりに必ず結果を残す。また調子が落ちて来た時にできるだけ早く調子を戻す。それが一流選手。
「好調をどうやってキープするか。良い時を長く、悪い時を短くという安定した投手になりたい。夏場とか、調子が悪くなる時期が必ずある。そこでへばらず、タフでいたい。だから一言で言えば、タフな投手になりたい。粘れる時に粘れるようになりたい。そうじゃないと良い投手とは言えないと思う。フィジカルもメンタルも両方タフで強い投手になりたい」
持ち味のストレートに加え、究極のスローカーブも披露した。そしてフィジカルとメンタルの強さも併せ持つ。日米を通じて大谷翔平の動向が注目を集めているがこの男も決して負けていない。アナハイムとサンディエゴ。リーグこそ異なるが、18年のMLBは南カリフォルニアから日本の風が吹き荒れる予感がする。
(山岡則夫 / Norio Yamaoka)
山岡則夫 プロフィール
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。