「松坂大輔でなければ今の投球で1軍はない」 山崎武司氏が指摘する課題

中日OBの野球解説者・山崎武司氏【写真:岩本健吾】
中日OBの野球解説者・山崎武司氏【写真:岩本健吾】

「変化球は投げられる」が…課題は直球「どうやって解消するのかな」

 では、今の松坂の課題は何か。山崎氏は、オープン戦初登板で2回2安打2失点とまずまずの内容だった4日の楽天戦を振り返り、「全球見たけど、『うーん』っていうボールがあった。スライダーは良かったけど、真っ直ぐを引っ掛けるわ、抜けるわ、で。3、4球に1回はそういうボールがあった。あれが、もっと切羽詰った時にどうなるのかな」と指摘する。

「変化球は投げられる。スライダーは低めに集まってるからね。変化球の精度が良くなっていると自分でも言ってるけど、こっちが見てもそうだから」と評価しているが、課題はやはり真っ直ぐ。「すべてはストレートの出来。すべて変化球を投げるわけにはいかない。真っ直ぐが、まだ抜けたり引っ掛けたりしてるから、どうやって解消するのかな、というところだろうね」。投球の軸であるはずの直球の精度を上げる必要があるというのだ。

 なぜ、直球が抜けたり、引っかかったりするのか。山崎氏は「それはやっぱり怖いとか、きわどいところに投げないといけないとか、ハートの部分もあると思う。肩の回り具合でちょっと引っかかってるところもあると思う。それはいろいろなことがあると思う」と推測。ただ、これが改善されなければ、“復活”へのハードルは高いと見ている。この登板を見た後、山崎氏は全盛期の松坂の投球映像と見比べて、違いを探ったが、同じような“現象”は見られなかったという。

「当然(全盛期と)スピードは違う。でも、やっぱり松坂大輔の全盛期はボールが抜けない。だから、球速が140キロとか135キロになっても、抜けないボールを投げられないと勝負にならないかなと思う。若くても、直球が抜けている選手は駄目。あの山本昌さんだって晩年は抜けていた。あれだけ精密機械みたいなコントロールを持っていた人が、晩年のちょっとやばいなと思っていた時にすっぽ抜けが多かった。そういうのがなくなってくると、ちょっと形になるのかな。勝負どころで本当にアウトローにくるのかなと。松坂もまだ真っ直ぐの4、5球で1回は抜けるし、引っ掛ける。この(課題の)解消は必要かなと思う」

 松坂が“復活”を遂げ、開幕後も勝利を重ねれば、プロ野球界が盛り上がることは確実。当然、中日にとっても強い追い風になるはずだ。課題をクリアし、1軍のマウンドで躍動できるか。その投球には常に熱視線が注がれている。

(Full-Count編集部)

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