選抜90回記念大会、アマ球界の名将が解説 “負けないチーム”が“勝ちにいった”
強振と軽打の使い分け、柔軟性のある打撃も必要に
強振と軽打の使い分けです。初球からフルスイングを見せた、聖光学院ですが追い込まれてからも大振りの場面が目立った。今後の試合を考えれば、柔軟性のある打撃も必要となってくるでしょう。そうすることで攻撃パターンがもっと増えてくると思います。どんなチームでも速いゴロを打てるチームは負けない。バットの面でボールを捉えることで、チャンスの要素が広がっていきます。
一方、春初勝利を狙った東筑。昨夏の甲子園も経験した石田君は序盤こそボールが高めに浮き3失点しましたが、その後は落ち着いた投球を見せていた。想定外だったのは攻撃面。バントのミスが響いたこと。結果的に成功した部分もありましたが、失敗(ファール)が多かった。バントの基本はストライクゾーンの高めにバットを構えることですが、ボールゾーンに構える打者が多かった。そこが今後に向けた課題になってくるはずです。
エースが抑え、ミスの少ない野球で「負けないチーム」が“勝ちにいった”というところでしょうか。しかし、東筑も夏に向けて素晴らしい経験をしたはずです。2番手の林君が甲子園のマウンドに上がれたことは非常に大きい。直球も140キロ台を計測し、石田君以外の投手が使えるメドが立たったのでは。夏に向けて非常に楽しみなチームですね。
〇比屋根吉信(ひやね・よしのぶ)
1951年9月19日、兵庫県尼崎市出身。66歳。報徳学園高から大阪体育大に進学。卒業後は西濃運輸で日本選手権にも出場。1976年に沖縄・興南高の監督に就任。仲田幸司、デニー友利ら多くのプロ野球選手を輩出。監督生活10年間で春夏通算6度、甲子園に導き1980年の選手権大会ではベスト8入りするなど同校の基盤を作った。その後は社会人野球・阿部企業、熊本・有明高の監督を務めるなど、2010年から12年までは関西学生野球リーグの京都大学の監督を務め、田中英祐(元ロッテ)を育てた。
(Full-Count編集部)