開幕へ万全仕上がりの鈴木誠也 故障からの復帰過程で見せた「凄さ」の根源

広島・石井雅也ヘッドトレーナー【写真:小林靖】
広島・石井雅也ヘッドトレーナー【写真:小林靖】

石井トレーナー部長も認めるポテンシャル「心も身体も強い」

「体の強さに関しては、パワー、耐久力、どちらも高いです。スポーツの世界では、正しい練習をした場合の練習量はウソをつかない。正しい練習をより多くした選手が絶対に勝ちます。彼は凄まじい量の練習をこなせるフィジカルの持ち主です。キャンプでは、その正しい動作ができる体を作るためのアスレチックリハビリテーションも行いましたが、本来彼が持っているポテンシャルはすごく高いので、たくさん練習できるんではないでしょうか」

 日本プロ野球トレーナー協会会長も務める石井氏は、鈴木が持つポテンシャルを高く評価した。広島では、怪我からの復帰に向けたリハビリの過程を4段階に分けている。その3つ目に、アスレチックリハビリテーションというステージを設定し、筋力と筋持久力の回復した後で実戦的なスキルのトレーニングを進めていく。戦列復帰後に故障の再発のリスクを軽減する効果を狙うアスレチックリハビリテーションでも、フィジカルの強い鈴木は圧倒的な練習量を積んだという。

 故障からの復帰を目指すプロセスは慎重に慎重を重ねるものだという。どんな実力者でも、一足飛びに復帰にたどり着く人はいない。

「難しい話になりますが、下半身の故障だから、動かせる上半身だけ鍛えておけばいい、ということはありません。それをしてしまうと、体の連鎖が崩れてしまうリスクが伴います。ウエイトトレーニングで鍛えられる部分は鍛えますが、その過程であまり無理な実技練習を入れないのがセオリーになります。この段階でキャッチボールをさせたりすると、フォームの崩れにつながるリスクがあります」

 動かせない箇所がある中で、無理な送球や打撃などの練習を始めれば、体の連動バランスが崩れてしまうこともあるという。バランスを考えながらトレーニングを積んだ先に、スキルに関するトレーニングがやってくる。

 カープのトレーナー陣の指導の下に「ウエイトトレーニングや肩の動かし方など基本的なトレーニング」をこなし、復活の道を歩んできた鈴木。“神っている男”の復調を実現したのは、類稀なるフィジカル面の強靭さに加え、優秀なトレーナー部門の尽力によるものと言えるかもしれない。

(Full-Count編集部)

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