病と闘う元ドジャース名手の記念シート 歴史家が語る30年前の衝撃

現役時代ドジャース等で活躍したカーク・ギブソン【写真:Getty Images】
現役時代ドジャース等で活躍したカーク・ギブソン【写真:Getty Images】

ドジャース本拠地に設置される「カーク・ギブソン・シート」

 ドジャースはニューヨーク州ブルックリンからロサンゼルスへフランチャイズを移転して60周年を迎える。それを祝うイベントの一つとして、今シーズン、「カーク・ギブソン・シート」と命名したシートを300ドル(約3万2000円)で販売した。カーク・ギブソン氏は1988年のワールドシリーズ第1戦でシリーズの流れを決める「代打逆転サヨナラツーラン」を放った名手で、野球史上最もドラマチックな出来事の一つと言われる。同シートには記念のTシャツとドリンクが付き、さらにそのうち200ドル(約2万1500円)がパーキンソン病と闘うための基金に寄付される。 

 開幕日にはギブソン氏自身が始球式を行い、翌日にはボブルヘッドが4万人に配布される予定。開幕戦が目前に迫ったタイミングで、ギブソン氏の奇跡のホームランのインパクトについてドジャースの歴史家、マーク・ダンギル氏に話を聞いた。 

――1988年10月のツーランホームラン。その衝撃は? 

「ドジャースの歴史で最も有名なホームランだ。誰も彼がその日プレーするとは思っていなかったし、ワールドシリーズでエカーズリー相手に打てたこと、怪我をしていたこともあり、30年経ってもその当時の映像は色褪せない。彼が足を引きずりながらあそこまで飛ばすなんて思わなかった。そしてそれが優勝の原動力となった。 

(元ドジャース投手の)ハーシュハイザーはいい選手だったが、1988年を思い出すたびにあのホームランが話題に出る。そこで、今年はあの打球が実際にどこに飛んだかを推測し、(落下地点の)2席をカーク・ギブソン・シートとして設けた。300ドルで購入できて、内200ドルはパーキンソン病患者のためのファウンデーションに寄付される。ギブソンがパーキンソン病と診断されてから、我々はなるべく力になれるようにしたかった。30年前はエカーズリーと戦っていたが、今回は病と闘う。今回はなかなか大変な戦いになる。そこで、ドジャース60周年と、ギブソン30周年を祝してオープニングデーに過去を振り返りたい」 

――1962年からドジャースタジアムはあるが、あのホームランが1番? 

「最もインパクトがあるホームランだった。過去を振り返ると、1951年のボビー・トムソンがポログラウンドで打ったホームランと、ジャッキー・ロビンソンの初ゲーム、ロスに来てからはコーファックスの完全試合やウィリスの104盗塁はあるが、30年前、テレビで見た人が多かったこともあり、見た人は全員その時、自分がどこで何をしていたかを覚えている。それがこのホームランの衝撃だ」 

「映画化したら信用できないほどの奇跡」

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