“不良債権処理”から開幕スタメン奪取 ケンプが復活へ第一歩「年取った新人」
ドジャース復帰のケンプが開幕スタメン「戻ってこられて良かった」
ブレーブスからドジャースに復帰したマット・ケンプ外野手が29日(日本時間30日)、本拠地ドジャー・スタジアムで行われたジャイアンツとの開幕戦で「6番・左翼」でスタメン出場した。トレードで復帰した際は“不良債権”処理のためと揶揄され、すぐにトレードで出される可能性も現地で伝えられていたが、かつてのスター選手はオープン戦で好調を維持して開幕スタメンを奪取。試合後、「この球団に戻ってこられて良かった」と感慨深げに語った。
ドジャースでメジャーデビュー以降9シーズンプレーしたケンプはパドレス、ブレーブスを経て今オフ、エイドリアン・ゴンザレス内野手らとのトレードで古巣に復帰。しかしそれは期待されてのものではなく、両球団が“不良債権”を処理する目的だったと報じられていた。しかしケンプ自身はスプリングトレーニングで結果を残すと、開幕スタメン入り。この日は1点を追う9回先頭で貴重なヒットを放つなど、3打数1安打1四球で開幕戦を終えた。
試合は打線が6回1失点と力投したエース左腕カーショーを援護できずに0-1と完封負け。試合後、ケンプは「名前が呼ばれた時、場内が沸いていた? とても嬉しかったよ。ここまでとは思わなくて、感情が高ぶった。この球団に戻ってこられて良かった」と感慨深げに語った。
同日は元ドジャースの名手カーク・ギブソン氏が始球式を実施。同氏が1988年のワールドシリーズ第1戦で放った「代打逆転サヨナラツーラン」は野球史上最もドラマチックな出来事の一つと言われており、ケンプも「何回もあのシーンを見たし、とても特別な瞬間だった」と振り返った。
しかし試合は力投を見せた投手陣を援護できずに敗戦。ケンプ自身、2度出塁し、9回には意地のヒットを放ったが、得点にはつながらなかった。「9回はここから反撃だと思った? もちろん。カーショーがいい投球をして何とかしないとと思っていた。もしここで逆転できたらすごいことだと思っていたが……。切り替えてやる」と悔しさをにじませた。
一時は不遇を味わいながらも復活への道を歩み始めた33歳。この日は「トレードで戻ってこれてとても嬉しかったし、トレーニングもたくさんして自分が何ができるかを証明する必要があった。新人のような気持ちで臨んだ。年を取った新人だけどね」と笑みも見せた。かつてのスター選手は古巣で輝きを取り戻せるだろうか。
(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)