ホークス千賀が初開幕投手で圧巻投球「力んでいこうと思っていました」
育成出身初の快挙、大舞台で7回1安打7奪三振無失点の堂々勝利
圧巻の投球だった。積み上げたアウトは21個。対峙した打者も21人。安打と四球で2人の走者こそ出したものの、オリックス打線に付け入る隙を与えない、ほぼ完璧なピッチングだった。ソフトバンクの千賀滉大投手。7回を投げて、わずか84球。1安打1四球、7個の三振を奪って無失点に抑え込んだ。
「久しぶりに緊張しましたけど、自分のピッチングに影響するほどじゃなかったですね。力むと思っていたので、力んでいこうと思っていました」
初回、先頭の宗への初球、いきなり自己最速を更新する157キロをマーク。2球目も157キロ。1死から山足に中前安打されたが、この日許した安打はこれだけ。続く吉田正を二ゴロ併殺打に切ると、2回も四球の後でマレーロを遊ゴロ併殺。3回以降は1人の走者も出さず、15打者連続でアウトに仕留めた。
3月23日の広島とのオープン戦で、千賀は右上腕部の張りを訴えて緊急降板していた。キャンプ中に告げられていた開幕投手も危ぶまれたが、「腕のこともありましたけど、いかないで投げないパターンだけは絶対に嫌だった」。大事には至らず、状況は改善。何とか間に合った。
開幕戦のマウンドでは腕の影響は感じさせない快投を見せたが、「(影響が)ゼロならあの球数で降りないですけど、ここから始まるのでガッツリはいけない。3、4月から無理する必要はない。もっと大事な時が来るので。試合は作れたので良かった」。84球。余力は残っていたが、マウンドを降りた。
「今日はゼロでいけて、チームが勝って良かったです。いいスタートが切れるように投げた」と試合後は安堵の表情を浮かべた。育成出身選手として初の大役を務め上げた千賀。報道陣から、また開幕投手をやりたいか、と問われると「もういいです」と返して笑わせていた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)