衝撃の1週間を目撃―米記者が語る大谷翔平、史上3人目の偉業の可能性

「スポーティングニュース」のジョセフ・ディポリート記者【写真:編集部】
「スポーティングニュース」のジョセフ・ディポリート記者【写真:編集部】

新人王は「イエス」、MVP獲得には3つのハードルが存在?

「ここまでは文句のない活躍だ。投手としては6回3失点でクオリティスタート(QS、6回以上を投げて自責3以下)。打者としては3試合で2本塁打。しかも、サイ・ヤング賞投手のクルーバーから打った。だが、どんなにいい選手にだって、スランプの時期は訪れる。その時に、彼がどんな対応力を見せるのか。ソーシアが話していた素質を見せることができるのか。アメリカと日本のファンとメディアの注目というプレッシャーにいかに耐えきるか。個人的にはこの2点に注目している」

 ソーシア監督は分析力、冷静さという「人間・大谷」の資質の高さを証言していたという。大谷が長いシーズンでスランプを迎えた時にいかに対処するのか。窮地での対応力にディポリート記者は注目していた。

 今から17年前、オリックスからマリナーズに移籍したイチローがメジャーを興奮のるつぼに巻き込んだ。打率.350、8本塁打、69打点、56盗塁。1975年のフレッド・リン氏(レッドソックス)に次ぎ、史上2人目となるMVPと新人王の同時受賞を達成する金字塔を打ち立てた。

 では、大谷は史上3人目の偉業を達成できるのだろうか。

「新人王に関してはイエスだ。そもそも、彼はメジャー上陸前から新人王を獲得できると言われていた。MVPに関しては難しいだろう。イチローとは状況がまったく違う」

 ディポリート氏はこう語る。米国野球殿堂入りが確実視される栄光の「背番号51」のケースと比較した際、MVP獲得へのハードルは3つ存在するという。

「まずは年齢差だ。イチローは、現在のオオタニよりもより日本で圧倒的な成績を残し、より成熟した状態でメジャーにやってきた。当時は27歳。大谷はまだ23歳。フィジカル面においても、メンタル面においても、4歳という年月とキャリアの差は少なくない」

 高校卒業後に日本のプロ野球の扉を叩いたイチローと大谷。イチローはNPBで9年間プレーし、7年連続首位打者という実績とともにシアトルにやってきた。一方、大谷はまだ23歳。メジャーではプロスペクトと呼ばれる有望株の年代だ。

 そして、ルーキーイヤーのチーム状況には格段の差があるという。

「もう一つは、当時イチローは現在のエンゼルスよりも比べ物にならないほど強力な戦力を誇る球団に加入した。あの打線は凄まじいものだった。投手陣もエンゼルスと比較にならないほど充実していた。あのシーズン116勝を挙げた。今でも破られていないレギュラーシーズン最多タイ記録なんだ。つまり、彼には多大なサポートが存在したんだ」

MVP獲得に立ちはだかる、強力なライバルの存在

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