衝撃の1週間を目撃―米記者が語る大谷翔平、史上3人目の偉業の可能性

MVP獲得に立ちはだかる、強力なライバルの存在

 現在、打撃コーチを務める指名打者のエドガー・マルチネスや二塁手のブレット・ブーンら強打者揃いだったマリナーズ。116勝46敗、勝率.716という圧巻の成績を残したチームは当時最強だった。

「オオタニにも、もちろんサポートは存在する。まずはトラウトがいるのは大きい。プホルスもいる。攻守においてシモンズ、コザートもいる。だが、当時のシアトルのクオリティとは格段に差がある。トラウトはメジャー最高の選手だが、それでも選手層という部分ではあまりにも差がある」

 昨季の成績は天才マイク・トラウト外野手を擁しながらも80勝82敗で借金2だった。今季は大谷に加え、ザック・コザート、イアン・キンズラー内野手を補強。内野の陣容は充実しているが、それでも「116勝」という金字塔を打ち立てたイチローのルーキーイヤーのマリナーズとは比較にならないという。

「エンゼルスはここ数年、先発投手の故障が相次いでいる。先発ローテーションが1シーズン持ちこたえられるなら、プレーオフの可能性も出てくるだろう」

 ラインナップの実力差はチームからのサポートの差を生み、個人成績にも影響を与える可能性があると、ディポリート氏は指摘する。

 そして、最後のハードルとして挙げたのは、MVP争いのライバルの存在だ。

「MVP争いに関して言えば、リーグのライバルの存在もある。アメリカン・リーグにはダイナミックな選手が揃っている。昨季MVPのホセ・アルトゥーベ、カルロス・コレアというアストロズの2人、コーリー・クルーバーも間違いなく候補に入ってくる。去年、マーリンズでナ・リーグMVPに輝いたジャンカルロ・スタントンもヤンキースにやってきた。レベルは極めて高いが、鉄板の存在はいない。オオタニは候補の1人になれる可能性はある。それだけでも、凄いことだ。だが、全ては時期尚早だ。オオタニが状況にいかにうまく対応していけるのか、シーズンの推移をもう見てみたい」

 同地区の昨季王者アストロズを筆頭に、若きタレントがひしめく群雄割拠のア・リーグ。ライバルが活躍する中、二刀流のスーパースターは際立ったパフォーマンスを見せることができるのか――。ただ、開幕1週間で衝撃のパフォーマンスを目撃した名物コラムニストは、MVP受賞の可能性を否定することは最後までしなかった。

(Full-Count編集部)

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