身長159cmもフルスイングで柵越え プロから女子野球W杯を目指す“6割打者”
侍ジャパン女子代表のサバイバル合宿に参加中の中田「小さくてもできる」
「第8回WBSC女子野球ワールドカップ」(8月22~31日、米国フロリダ)で6連覇を目指す侍ジャパン女子代表が13~15日、高知県安芸市で第2回強化合宿を行った。35人の候補が20人に絞られるこのサバイバル合宿に、特別な思いで臨んだ選手は多い。初めて参加したプロの中田友実外野手(愛知ディオーネ)もその一人だ。
「アマチュア時代から憧れがありました。プロから代表になるのはすごいこと。結果を聞いた時は本当にうれしかったです」
女子プロ野球リーグの選手は代表のトライアウトには参加できず、リーグから代表に派遣されるのは5人程度と狭き門。今回は、実績十分の里綾実投手(愛知ディオーネ)、川端友紀内野手(埼玉アストライア)、三浦伊織外野手(京都フローラ)の3人を除き、代表入りを希望する選手30人ほどによる選考会が行われたという。結果的にプロ選手6人の一人として代表候補入りし、気合が入る。
逆境をプラスに変えて成長してきた。小学1年で野球を始め、埼玉栄高卒業後にプロ入り。1年目にスライディングで右手甲を骨折し、復帰まで3か月を要したが、その間にジムに通ったことで体を大きくすることに成功した。身長は159センチ。高校時代に48キロだった体重がプロ5年目の現在は58キロとたくましくなった。
右足を大きく上げるフォームから繰り出すフルスイングが持ち味だ。「プロ入り当初は、ひ弱でコンパクトなバッティングでしたが、成長できなかったので、2年目からフルスイングに変えました。本当にいろんな方に教えてもらって、それを全部合わせてくれたのが川口コーチでした」。16年に兵庫ディオーネのコーチに就任した元オリックスの川口知哉氏(現京都フローラ監督)の指導で一気に開花した。昨季は公式戦で柵越え2本を放ち、打率.338でリーグ8位と活躍。リーグトップの31四球を選んだ選球眼も魅力だ。
「体が小さいからホームランは打てないと思われるのは嫌。小さくてもできることを知ってもらいたいです」と負けん気の強さを見せる。今回代表候補入りしたことが発奮材料となり、先月開幕した女子プロ野球リーグでは、4試合で11打数7安打、打率は.636で首位と好スタートを切った。
今回の合宿では、3試合の紅白戦で4打数無安打3四球だった。「結果は出ませんでしたが、課題があることはいいこと」と前向きに捉え、リーグに戻ってさらに腕を磨く。
合宿を終え、選手は35人から20人に絞られる。プロだからといって決して安泰なわけではない。「勝つことが当たり前と思われるプレッシャーの中で5連覇したのはすごいこと。野球を好きな世界中の人たちと出会えることは幸せですし、自分も成長できると思います」。憧れ続けたワールドカップの舞台に思いを馳せ、吉報を待つ。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)