大学では「3番・投手」 女子野球W杯目指す19歳“二刀流”が秘める可能性
代表を目指すきっかけは、元日本代表・西との出会い
昨年末に行われたトライアウトでは、球速(122キロ)、スイングスピード(127キロ)ともトップの数値を叩き出し、初選出された。実は投げるだけはなく、打ってもすごい。昨年11月のジャパンカップ、埼玉栄戦ではわかさスタジアム京都の右中間に柵越えを放って周囲を驚かせた。大学の試合では、山田が登板時にはDHを使わず「3番・投手」として出場している二刀流選手だ。
小学4年の時に神奈川県伊勢原市の高部屋少年野球部で野球を始め、伊勢原山王中では野球部に所属していた。卒業後は自宅近くに女子野球部のある学校がなかったため、厚木商高に進学して、ソフトボール部に入部。打力が評価されて1年からインターハイに出場した。強肩を買われ、異例の左利きの捕手だった。「野球とはスピード感が全然違って。やっぱり野球の方が面白い」と半年で退部。日本代表の「4番・捕手」として長年活躍した西朝美が監督を務める女子硬式クラブチームの「AFB-TTR」に入った。
この時の西との出会いが、代表を目指すきっかけになった。「実は西さんのことは入ってから知りました。つきっきりで教えてくれて、高校時代に球が速くなりました。『日本代表にも絶対行けるから頑張れ』と励ましてくれて。恩返しをしたいです。周りがトッププレーヤーばかりの中でマウンドに立って投げたい」と最終メンバー入りへの思いを語る。
メンバーが35人から20人に絞られる今回のサバイバル合宿を終えた山田は「今自分ができることはやりました」とうなずいた。結果はどうであれ、野球選手として課題を克服してステップアップを目指すことに変わりはない。現在はフォークとチェンジアップに挑戦中だ。「今回代表に選ばれたらいいなと思いますが、無理でも、大学の方でバッティングでもピッチングでもいい成績を残したいです」。19歳の挑戦は始まったばかりだ。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)